2021 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性鼻炎とその免疫寛容におけるB7/CD28ファミリーの機能を解明する
Project/Area Number |
20K18248
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
五十嵐 賢 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (10597016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 舌下免疫療法 / 抗原特異的CD4陽性Th2細胞 / PD-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアレルギー性鼻炎の発症者、免疫療法施行者におけるT細胞のCD28ファミリー(PD-1等)の発現等を解析することでアレルギー性鼻炎発症及び寛容のメカニズムの一端を解明する。 <令和3年度研究報告> まず健常人と比較して、アレルギー性鼻炎患者における末梢血Th2細胞の遺伝子プロファイルの違いを明らかにするため健常人15人とアレルギー性鼻炎患者25人から採取したCD4+Th2細胞のRNAseqデータ(GSE75011)を用いて解析を行った。健常人と比較しアレルギー患者由来のCD4+Th細胞で有意に増加していた318遺伝子、有意に低下していた191遺伝子をそれぞれ同定できた。同定できた遺伝子の中でT細胞の免疫抑制マーカーについて調べたところPDCD1遺伝子とLAG3遺伝子がアレルギー性鼻炎患者で有意に低下していた。 続いてアレルギー性鼻炎で非常に重要な治療である舌下免疫療法が免疫抑制マーカーにどのような影響をあたるのかを調べるため、ダニアレルギー性鼻炎患者のダニアレルゲン舌下免疫治療(ミティキュア)前および治療半年後で末梢血単核球分画(PBMCs)を採取し抗原特異的T細胞を誘導した後シングルセルRNAseqおよびTCRシークエンスを行った。ダニアレルゲン刺激によりCD4+GATA3+Th2細胞でPD-1発現細胞が増加していたが、SLIT前後でPD-1発現量に変化はなかった。 さらにダニアレルゲン刺激群のCD4+GATA3+Th2細胞を解析したところ、PDCD1high分画とPDCD1low分画をクラスタリングできた。SLIT治療によるPDCD1high CD4+Th2細胞の遺伝子プロファイルの変化を解析したところSLIT治療により60遺伝子が発現低下、20遺伝子が発現増加していることがわかり、SLIT治療によるPD-1high Th2へ及ぼす影響について明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に難渋したPBMCsの抗原特異的CD4陽性T細胞培養の実験系が機能し解析が進んだため。また、シングルセルRNAシークエンスを用い網羅的に遺伝子解析を行ったことで、アレルギー性鼻炎およびSLIT治療患者末梢血のCD4+Th2細胞についてCD28ファミリーであるPD-1遺伝子発現を検出でき、さらにPD-1遺伝子が高発現しているTh2細胞でSLIT治療の修飾により遺伝子プロファイルの差異が確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度で行った実験、解析を、サンプルを増やし妥当性を検証していきたい。SLIT治療によってPD-1遺伝子が高発現しているTh2細胞の遺伝子プロファイルについて、どの遺伝子がSLIT治療のバイオマーカーとなり得るか解析を加えたい。
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