2022 Fiscal Year Annual Research Report
HPV関連頭頸部扁平上皮癌のクロマチン構造解析による発癌分子機構の解明
Project/Area Number |
20K18271
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
美馬 勝人 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40866109)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | HPV / 頭頸部扁平上皮癌 / クロマチン高次構造 / ヒストン修飾 / クロマチン構造 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
HPV陽性頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)において挿入HPV(integrated HPV)と相互作用する宿主ゲノム領域(HPV-interacting region : HPVIR)の網羅的探索とエピゲノム情報、遺伝子発現情報の統合解析を進めた。 WNT経路の発現亢進を認めるHPV陽性HNSCC細胞株UPCI-SCC-090について、4C-seq解析すると4つの染色体でHPVIR(0.5-40 Mb)が同定された。Hi-C解析を行いA/Bコンパートメントを算出すると、HPV挿入部位はAコンパートメント優位であった。Aコンパートメント内のHPVIRに存在する遺伝子は発現亢進しており、非増幅領域の遺伝子536個にWNT経路関連遺伝子の有意な濃縮を認めた(P=1e-25)。ChIP-seq解析の結果、HPVIRでは活性エンハンサーの数が、正常細胞やHPV陰性HNSCC細胞と比べて有意に増加しており、活性エンハンサーの集簇であるスーパーエンハンサー(SE)に着目した。HPVIR内のSE標的遺伝子を207個を抽出するとWNT経路関連遺伝子の有意な濃縮を認めた(P=1e-9)。最も発現亢進するITPR3に着目すると、ITPR3遺伝子の75-79kb下流にあるエンハンサー領域はUPCI-SCC-090細胞で異常活性化してSEを形成しており、ITPR3遺伝子プロモーターと近接関係を形成することをHi-Cにて同定した。siRNAによるノックダウンでの細胞増殖抑制、エンハンサー削除実験によるITPR3発現低下と細胞増殖抑制を認めた。 このようなHPVIR内の非増幅領域におけるエピゲノム活性化は、他のHPV感染HNSCC細胞株UM-SCC-47、UM-SCC-104においても認め、広くHNSCC発がんの一因であることが示唆された。 これらの成果はInt. J. Cancer誌に掲載予定である。
|