2021 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞に焦点を当てたマウス顔面神経切断モデルの検討
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20K18274
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高相 裕司 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00866444)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 顔面神経 / NAD+ / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD38ノックアウトマウスにおいて、顔面神経切断後の神経変性の遅延並びに顔面神経核ではミクログリア、顔面神経ではマクロファージといった炎症細胞の集積抑制を認める結果が得られた。この原因としてNicotinamide adenine dinucleotide(NAD+)の神経保護効果によるものが考えられた。このことを踏まえ野生型(ICR)マウスにNicotinamide riboside(NR)を1週間腹腔内投与した後に左顔面神経を切断しモデルを作成、切断後1、3、7日目の顔面神経核ならびに顔面神経(末梢神経)の神経細胞や構造、炎症細胞(顔面神経核でのアストロサイト、ミクログリア、末梢神経でのマクロファージ、好中球)の集積につき評価を行なった。その際に顔面神経核並びに顔面神経中のNAD+の測定をNAD/NADH測定キット(E2ND-100, BioAssay Systems, Hayward, CA, USA)を用いて行い、野生型マウスと比較しNR投与マウスにて顔面神経核と顔面神経それぞれにおいてNAD+濃度が有意差を持って上昇していることを確認した。顔面神経核においては神経細胞数、炎症細胞ともに野生型マウスとNR投与マウスでは有意差は認めなかった。末梢神経においては炎症細胞の集積については有意差は認めなかったが、野生型マウスと比較しNR投与マウスでは、切断後3日目と7日目に神経変性の遅延を認める結果が得られた。これにより、NAD+が高値であると末梢神経変性が遅延することから、NAD+は末梢神経の神経変性抑制因子になる可能性が示唆された。
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