2020 Fiscal Year Research-status Report
BMP8Bを介した骨芽細胞による好酸球性副鼻腔炎難治メカニズムの解明
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20K18281
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小幡 翔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50846409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | BMP8B / 好酸球性副鼻腔炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
「BMP8Bを介した骨芽細胞による好酸球性副鼻腔炎(ECRS)難治メカニズムの解明」という切り口で取り組んでいる本研究において、組織中の遺伝子発現の評価として、部位ごとに施行したqPCRにおいて、中鼻甲介、ならびにポリープにおいてBMP8Bの発現が亢進することを確認している。 加えて、我々はこれまでに骨肥厚の有無とBMP8Bの組織発現において相関関係がみられていること、また、疾患の病勢との相関関係がみられていることを免疫染色、ならびに症例ごとの病勢スコアを用いて確認した。以上から好酸球性副鼻腔炎において、BMP8Bの発現状況は好酸球性副鼻腔炎の予後との相関を示すことが明らかとなり、バイオマーカーとしての可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、想定していた手術検体の集積が達成できていないためである。 今後継続して症例集積を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は次のステップとして、BMP8Bの供給源、ならびに、BMP8Bの働きについての検討を行っている。BMP8Bそのものは骨造成能との関わりは言われているものの、骨代謝という文脈においてもはっきりした機能は指摘されていない。BMP8Bの供給源としては免疫染色の結果から好酸球がその候補にあがっているが、どのような機序でBMP8Bを分泌し、好酸球性副鼻腔炎の病勢に影響をあたえているかは現時点では明らかにはなっていない。既報では、NFκBの活性化や炎症性サイトカインとしてのIL-8、CCL-5の分泌を促す機序が報告されている。これらは好中球炎症に寄与するサイトカインとして知られており、好酸球性副鼻腔炎の難治化において、好中球炎症が寄与するという既報との符号が見られている。これらをもとに、今後、上皮組織、ならびに骨芽細胞への影響を考え、検討を行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により、手術組織回収が想定通りに進まず、実験試薬などの購入機会が減少したため、当該助成金に差額が生じた。 今後、BMP8Bを使用して各種細胞を使用しての実験を行う方針であり、その実施にあたり必要経費が高額になる見込みである。本予算についてはその購入費用として使用する予定である。
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