2021 Fiscal Year Research-status Report
BMP8Bを介した骨芽細胞による好酸球性副鼻腔炎難治メカニズムの解明
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20K18281
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小幡 翔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50846409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BMP8B |
Outline of Annual Research Achievements |
「BMP8Bを介した骨芽細胞による好酸球性副鼻腔炎(ECRS)難治メカニズムの解明」という切り口で取り組んでいる本研究において、組織中の遺伝子発現の評価 として、部位ごとに施行したqPCRにおいて、中鼻甲介、ならびにポリープにおいてBMP8Bの発現が亢進することを確認している。 加えて、我々はこれまでに骨肥厚の有無とBMP8Bの組織発現において相関関係がみられていること、また、疾患の病勢との相関関係がみられていることを免疫染色、ならびに症例ごとの病勢スコアを用いて確認した。以上から好酸球性副鼻腔炎において、BMP8Bの発現状況は好酸球性副鼻腔炎の予後との相関を示すことが明らかとなり、バイオマーカーとしての可能性が示唆された。 また、ポリープ組織におけるBMP8Bと受容体についての評価を行ったところ、鼻腔上皮においてBMP8Bの受容体が発現していることを確認した。上記を踏まえ、鼻腔上皮細胞に対してBMP8Bを用いて刺激することでどのような変化をきたすかについて検討したところ、炎症性サイトカインのうち、好中球性炎症に関するサイトカインの放出が増強されること、ならびに、epithelial-mesenchymal transitionをきたすことを確認した。 これらはBMP8Bによる上皮への影響として、好酸球性炎症に続発して起こる好中球性炎症の惹起、疾患の難治化に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、想定していた手術検体の集積が達成できていないためである。 今後継続して症例集積を行っていく。
また、BMP8Bによる好酸球性炎症への関わりについて、その刺激に対する反応が好中球性炎症を惹起することが明らかになった。これらは特にアジア人における好酸球性副鼻腔炎の難治化という点で重要とされている因子であり、より細かな検討が必要と考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
qPCRあるいはRNAseqによる上皮のシグナル動態の解析を行い、HNEpCによる検証を行う。 また、データに応じて、BMP8Bノックアウトマウスや、受容体のノックダウンを行ったセルラインを用いての検討を行い、病態への寄与を検討する。
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Causes of Carryover |
研究進捗の遅れに伴い、使用する試薬の消費・購入、RNAシークエンスなどの網羅的解析のための検体提出が行われなかったため、次年度使用額が生じました。
上記につき、今後検体提出を行う予定としています。
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