2020 Fiscal Year Annual Research Report
顔面神経麻痺モデルにおけるIGF-1鼓室内投与の検討
Project/Area Number |
20K18284
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木村 拓也 愛媛大学, 医学部附属病院, 専攻医 (40792502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顔面神経麻痺 / 再生治療 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
Bell麻痺やHunt症候群などの末梢性顔面神経麻痺は、神経障害が高度になれば予後不良であり、後遺症が必発となる。顔面神経麻痺の後遺症は、顔貌の非対称性に加え、笑いなどの表情コントロールができないため、患者は多大なQOLの低下と精神的苦痛を被る。治療は薬物療法がおこなわれているが、Bell麻痺では約10%、Hunt症候群では約40%で後遺症が残るのが現状である。特に、高度麻痺の症例では後遺症残存する可能性が高いため、薬物治療に加えて、手術や神経再生医療といったオプション治療が必要である。本研究では、モルモット冷却顔面神経麻痺モデルに、神経栄養因子であるIGF-1を鼓室に投与し、その有用性を検討した。IGF-1は、ゼラチンハイドロゲルに含浸させ、徐放化し鼓室内投与し、投与後10週で、顔面神経麻痺スコア、神経伝導速度、組織学的に軸索数、ミエリン厚を測定し評価した。結果は、麻痺スコア、神経伝導速度、軸索数、ミエリン厚のいずれにおいても、IGF-1投与群は、非投与群に比して有意に増加しており、良好な神経再生を示す結果であった。本研究の結果は、IGF-1の鼓室内投与が、高度顔面神経麻痺モデルにおける新たな治療法となりうることが示されている。現在行われているオプション治療である顔面神経減荷術は、発症早期で施行する必要があるが、全身麻酔を必要とするために、臨床的には発症早期での施行が困難である症例が多い。問題点として難聴をきたす可能性があることや手術手技が困難で施術できる術者が限られてしまうことがあげられる。一方で、IGF-1の鼓室内投与では、手技が容易で、局所麻酔下に外来で施行することができる。そのため、発症早期にオプション治療を行うことが可能となり、高度顔面神経麻痺における治療成績の向上が期待できる。
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Research Products
(2 results)