2021 Fiscal Year Research-status Report
HPV関連中咽頭癌におけるDNA損傷修復系と内因性免疫因子APOBEC3の発現
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20K18299
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
甲能 武幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 専任講師 (90573410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HPV / 中咽頭癌 / DNA損傷修復系 / 化学療法 / 予後予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、HPV関連中咽頭癌においてDNA損傷修復系因子の発現がシスプラチンを含む化学療法への奏功および予後と関連があるのか検証した。 所属機関で2010年1月以降に化学(放射線)治療を行ったp16陽性中咽頭扁平上皮癌60症例を収集し、治療に奏功して予後良好であった症例と、治療抵抗性を示したり早期再発転移を来たして予後不良であった症例の2群にわけ、臨床的背景およびDNA損傷修復系因子発現との関連を後方視的に解析した。臨床的背景に関しては年齢・性別・T分類・Staging・喫煙量・腫瘍の原発部位などについて検討した。また、評価するDNA損傷修復系に関しては、これまでの研究成果から、頭頸部上皮において発現が亢進していたATR経路の主要キナーゼであるリン酸化CHK1と、FA経路の主要因子であるFANCD2、そしてDNA損傷の指標となるγH2Axを選定し、パラフィン包埋組織切片の免疫蛍光染色およびProximity Ligation Assayにより、各因子の局在と発現量を解析した。 臨床的因子に関しては、どれも奏功群と非奏功群で統計学的有意差は認めなかった。一方、DNA損傷修復系因子の発現に関して、各因子はいずれも核内で点状のFocusを形成していたが、その発現量に関しては、リン酸化CHK1は両群間で有意差を認めなかったものの、FANCD2は奏功群で有意に発現量が多く(p<0.01)、生存曲線による解析でもFANCD2の発現が化学療法の効果および予後予測因子として有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に掲げていた予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA損傷修復系因子およびAPOBEC因子が新規治療の標的となりうるか、in vitroでの解析を行う予定である。具体的には、ATR、FA、APOBEC3Bのノックダウン細胞に対しシスプラチン投与を行い、wild typeのHPV陽性中咽頭癌細胞への投与と比較して治療効果に差が生じるか検討する。 また、APOBEC3Bを選択的に阻害しうる薬剤は今のところ存在しないが、ATRおよびFA経路の阻害剤に関しては入手可能であるため、wild typeのHPV陽性中咽頭癌細胞に対し、ATR阻害剤 or FA阻害剤単独投与群、シスプラチン+ATR阻害剤 or シスプラチン+FA阻害剤投与群、シスプラチン単独投与群で治療効果に差があるかも検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定されていた国際学会が延期になるなどの影響で、旅費を中心とした支出が次年度に繰り越しされることとなった。
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Research Products
(3 results)