2020 Fiscal Year Research-status Report
Pendred症候群モデルマウスにおける平衡障害の評価
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20K18305
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡邊 浩基 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (90845356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Pendred症候群 / 前庭水管 / 耳石器 / 半規管 / 傾斜試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pendred症候群は難聴だけではなく、めまいの反復を半数以上に伴うが、有効な治療法がないことは課題である。本研究の目的は、SLC26A4変異のモデルマウスに対して、前庭の機能評価(傾斜試験、回転刺激検査、冷水刺激検査、前庭誘発脳電位検査)と形態学的評価(顕微鏡、microCT)を行い、未解明の同症候群患者の平衡障害の病態を解明することである。モデルマウスでの前庭障害を評価する実験系が確立することにより他の疾患モデルマウスの評価にも応用できることが期待できる。 今年度は、まずSLC26A4変異のモデルマウスを用意し、野生型マウスを掛け合わせることにより対照群のマウスを準備した。また、野生型マウスを対象に試行を繰り返し、マウスの眼球運動観察記録のために適切なシステムを構築した。さらに記録した眼球運動の解析方法についても定めた。SLC26A4変異のモデルマウスには前庭障害の兆候である回旋行動を伴う個体と伴わない個体がいたため、前庭機能検査の結果が異なるのではないかと考え、それぞれ分けて検査結果を解析することにした。ロータロッド検査で大まかな前庭機能を評価すると、回旋ノックアウトマウスが最も成績が悪く、非回旋ノックアウトマウス、ヘテロマウス の順に成績は良くなった。また、前庭の半規管機能評価のために冷水刺激検査、回転刺激検査を実施し、回旋ノックアウトマウスはヘテロマウスと比べて有意に悪い成績だったが、非回旋ノックアウトマウスではヘテロマウスと比べて成績に大差なかった。モデルマウスにおいて、ほぼ全例で認める重篤な聴覚障害とは異なり、半規管機能障害は正常から重症までバリエーションが豊富なことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス蔓延に伴い、研究活動が制限された時期もあったが、その間でも実施しやすい実験を優先して実行したため、概ね順調にデータ収集ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、生理学的検査を行うことと、未実施の形態学的検査とを交えて研究計画を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延に伴う実験制限により、大掛かりな実験を実施しにくかったため、予定より予算を抑えられた。次年度以降、実験制限がなければ今年度出来なかった分も合わせて実施していく予定である。
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