2021 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺切除モデルマウスを用いた甲状腺再生メカニズムの解明
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20K18308
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀧澤 義徳 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60464111)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺の再生 / 甲状腺体性幹細胞 / 甲状腺切除モデルマウス / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺体性幹細胞に関する報告は少なく、申請者は最近、遺伝子改変マウスから甲状腺体性幹細胞もしくはその前駆細胞と考えられる部位を見出した。本研究では、その体性幹細胞を示唆する部位とその周囲の甲状腺組織を一部残した甲状腺の大部分を切除したモデルマウスを作成、解析し、甲状腺体性幹細胞の同定から、機能獲得のメカニズムの解明を目指す。体性幹細胞を用いた甲状腺再生医療への応用が期待される。 2021年度は、遺伝子改変マウスの比較のための通常のマウス(C57BL/6NCrSlc)を用いて、甲状腺切除モデルを作成した。術後6週間飼育後に甲状腺と血液を回収した。切片を作成し、評価した。免疫染色を行ったが、目的とする細胞群は同定できなかった。遺伝子改変マウスでの甲状腺切除モデルの作成につなげていく。反省点は、甲状腺の切除が不十分となってしまった例があり、今後手術手技の改善が必要と思われた。 留学先のアメリカ国立衛生学研究所(NIH)で用いた遺伝子改変マウスの取り寄せを開始したが、本学動物実験施設の微生物基準を満たしていないため、生体そのものの受け入れができないことがわかった。そのため、NIHから輸入した凍結胚を、浜松市内の実験動物業者(日本SLC)に委託し、生体作成を依頼した。2022年3月30日に、11匹の生体を得ることができ、本年度の実験に備えている。 また最終的にヒトへの応用を考えるうえで、ヒト検体で先に記した遺伝子改変マウスで見出された部位について2020年度に引き続き検討をした。1症例で同様な細胞群を見出すことができ、2022年2月The Association for Research in Otolaryngology 45th Annual MidWinter Meetingにてポスター発表した。マウスの知見とヒト組織の知見を総合することで、研究が推し進められると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスをアメリカ国立衛生学研究所から輸送の手続きを開始したが、本学動物実験施設の微生物基準を満たしていないため、生体そのものを直接本学動物実験施設に受け入れることができないことがわかった。そのため浜松市内の実験動物業者(日本SLC)に、NIHから凍結胚を輸送し、生体作成を依頼し、2022年3月30日に無事に産子を得ることができた。当初、マウスの生体そのものを必要な数、輸送する計画であったが、凍結胚を用いて出生と、遺伝子発現の確認など、実際に甲状腺切除モデルを作成するための準備期間が長く必要になったため、やや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
凍結胚からの生体作成は、幸い、2022年3月30日に産子が得られたため、継代していく。今回の解析対象数は、オスを10匹程度と考えており、少しづつ計画を進めていく。 甲状腺切除モデルの作成については、甲状腺の必要十分な切除が求められるため、手術手技の向上が今後の課題となる。 また、ヒト手術検体を用いた解析は、一例のみに目的とする細胞群と同じ性質を持つ細胞群を見出すことができた。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスは当初、生体を米国から直接搬入する予定であったが、それができなかったため、凍結胚からの生体作成となり、輸送のための時間と費用が生じた。 今後、モデルマウスの作成や飼育を行っていくこと、また解析のための費用が計上されておらず、2021年度の予算の残りを本年度へ繰り越すこととなった。
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Research Products
(1 results)