2021 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部扁平上皮癌浸潤・転移におけるNHE1に関する検討
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20K18314
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木谷 卓史 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (00568909)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NHE1 / LOXL2 / HNSCC |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはこれまでに細胞内pHの制御因子であるナトリウムイオン/プロトン交換輸送体(NHE1)がヒト頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)において過剰発現していることを見出し、過剰発現したNHE1が癌細胞が集団で移動して転移に至るcollective migrationに関与することを報告してきた。また、NHE1は腫瘍浸潤への寄与を通じてだけでなく、リシルオキシダーゼ様因子2(LOXL2)など他の分泌因子を通じて転移に寄与している可能性もあり、新規の治療標的に値する分子である。 ①頭頸部扁平上皮がん転移抑制治療標的としてのNHE1の可能性 NHE1およびLOXL2それぞれの ノックダウンによるリンパ節への転移性の減弱を先行研究において確認しているが、これらの分子両方を阻害することで相加的な転移性減弱が期待できると考えた。ヒト舌癌細胞株(SASL1m)において NHE1、LOXL2の両方をノックダウンし二因子抑制細胞株(dKD)を作成。陰性対照(NC)と2種類の一因子抑制細胞株、そしてdKDをそれぞれ生後10週以上のヌードマウスの舌に約50万個注入し、14日後に舌と頸部リンパ節を摘出。qRT-PCRにて舌組織、リンパ節組織におけるヒト、マウスmRNA量を測定し、所定の計算式により転移率を計算した。dKD群において、NC群と比較し有意差を持って転移率の低下が見られた。2つの一因子抑制細胞移植群とdKD群の比較でもdKD群において低下する傾向が見られた。したがって、機序の異なる二因子の同時抑制によるより高い転移抑制が期待されると考えられる。
②転移リスク診断標的としてのNHE1の有用性について 臨床検体からNHE1の予後因子としての有用性の検討を行う予定である。現在、院内の倫理委員会から承認され、該当症例の同意を取得し、サンプル収集を行っている。
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