2021 Fiscal Year Annual Research Report
核酸クロマトグラフィーを用いた沖縄版ペンドレッド症候群迅速遺伝子診断法の確立
Project/Area Number |
20K18316
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
我那覇 章 宮崎大学, 医学部, 准教授 (00347155)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 沖縄 / ペンドレッド症候群 / 前庭水管拡大症 / SLC26A4 / STH-PAS / 迅速診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペンドレッド症候群(PS)と非症候群性前庭水管拡大症(EVA)はSLC26A4遺伝子変異による常染色体劣勢遺伝形式の先天性難聴である.SLC26A4遺伝子変異の分布は人種により異なることが報告されている.沖縄出身のPSまたはEVA症例においては,SLC26A4遺伝子のc.1707+5G>Aまたはc.2168A>G(p.H723R)の変異か94%においてが関与しており,最も頻度の高い変異である.本研究では,沖縄県出身のPSまたはEVA患者の34サンプルおよびc.1707+5G>Aまたはp.H723Rの保因者の14サンプルを用い,血液から抽出したgDNAサンプルを用いて前記2遺伝子変異の新たな同定法として,アレル特異的PCRとsingle-stranded tag hybridization chromatographic printed-array strip (STH-PAS)法を用いた方法を確立するとともに検査の安定性を確認した.さらなる遺伝子同定方法の簡素化と非侵襲化を目的として全血および唾液からgDNAを抽出せずに直接アリル特異的PCRとSTH-PASを用いた2対象遺伝子変異同定法を確立した.gDNA,全血および唾液からのアリル特異的PCRとSTH-PASを用いた解析結果は,gDNA用いてSanger法による遺伝子解析結果と100%一致した. 本研究で開発したgDNAを用いた遺伝子同定法は沖縄県出身のPSまたはEVA患者の88%において3時間以内の遺伝子診断を可能にする.さらに唾液からの直接アリル特異的PCRとSTH-PAS法を用いれば2時間以内に遺伝子診断が可能である.本邦は沖縄県のPSまたはEVA患者に簡易で迅速かつ非侵襲的な遺伝子診断を提供する.人種による背景を考慮し対象遺伝子変異を選択することにより,東アジアでの本法の応用が可能であると考えられる.
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Research Products
(3 results)