2020 Fiscal Year Research-status Report
Bacteroides門口腔細菌の免疫制御活性の解明と舌下免疫療法への応用
Project/Area Number |
20K18322
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡 愛子 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (40865234)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロバイオーム / 舌下免疫療法 / アレルギー性鼻炎 / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は事前研究でアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法(SLIT)において治療抗原が最初に反応する唾液に着目し、唾液のIL-10産生誘導活性が治療の有効性に関わること(Haruna T, Oka A, Okano M, et al. Role of saliva in the efficacy of sublingual immunotherapy in seasonal allergic rhinitis. Allerology International 68: 82-89, 2019)を明らかにした。本研究の目的は、舌下免疫療法の効果と唾液マイクロバイオームとの関連を解析し、“唾液に含まれる免疫制御活性をもつ特定の細菌種が舌下免疫療法の効果に関与する”という仮説を検証することである。このために、日本人のスギ花粉症患者104人の唾液沈渣を材料に菌種組成を解析した。またこの唾液を添加してTHP-1細胞を培養し、制御性サイトカインであるIL-10産生量とマイクロバイオームの組成率を検討した。さらにSLITの著効例で組成比が有意に高い細菌、すなわち治療効果関連細菌を検討した。この結果、IL-10産生量が高い患者、治療効果が高い患者で、唾液中のPrevotella属の組成率が高いことが判明した。結果を英語論文にまとめて投稿し、受理された(Oka A, Okano M, eet al. Role of salivary microbiome in IL-10 production and efficacy of sublingual immunotherapy. Allergy (Epub ahead of print), 2021)。 今後の研究ではPrevotella属のIL-10産生誘導能をin vitroで確認することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のように我々は、制御性サイトカインの代表であるIL-10の産生を誘導する活性には唾液を構成するPrevotella属の組成率が関与すること、スギ舌下液剤を用いた舌下免疫療法が著効するスギ花粉症患者では唾液中のPrevotella属の組成率が有意に高いことを見いだした。 上記内容について、本年度日本耳鼻咽喉科学会学術講演会で口演発表予定。
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Strategy for Future Research Activity |
Microbiologics社から治療効果関連細菌株と予想されるPrevotella属の菌株を入手した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)にPrevotella属の菌株を添加し、IL-10産生やFoxP3+制御性T細胞の誘導がみられるか検討する。またPrevotella属の細胞壁の成分であるLPSを阻害するポリミキシンBやLPSが結合するTLR4阻害薬の添加の有無によりIL-10産生やFoxP3+制御性T細胞の誘導が抑制されるかを検討する。
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Causes of Carryover |
高額であるELISAの抗体キットや、実験に使う消耗品を、指導研究員の前任地である岡山大学で購入したものを使用したため、次年度使用額が生じた。次年度も引き続き複数のサイトカインを同時に検出するELISA抗体キットなどを購入予定。
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Research Products
(3 results)