2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K18325
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
宇田川 友克 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60328292)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 難治性中耳炎 / 細胞シート / 繊毛細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が所属する細胞シートグループは、難治性の中耳炎として最もよく知られている疾患の一つである真珠腫性中耳炎に対して、術中創部(乳突腔)に鼻腔粘膜細胞シートの自家移植を施行することで良好な治療成績が得られている。一方、癒着性中耳炎症例に従来の鼻腔粘膜由来無繊毛細胞シートを創部(鼓室)に移植しても術後再発するケースが少なくない。この原因としては、無繊毛細胞シートには繊毛が生えていないため、繊毛が豊富な鼓室の正常粘膜と同等の役割ができていない可能性がある。この問題点を解決するため、研究代表者らは、温度応答性培養「基材」を用いて容易に移植可能な鼻腔粘膜由来繊毛細胞シートの開発を目指している。昨年度、ヒト鼻腔粘膜由来の無繊毛細胞シートにおいて、自己複製(増殖)能と様々な細胞に分化する能力(多分化能)を有する上皮のマーカーX陽性細胞に、繊毛細胞の分化に必要な事が知られている転写因子Yが発現していることを見出した。この結果は無繊毛細胞シートのマーカーX陽性細胞は繊毛細胞に分化する能力があることを示唆しており、本年度は繊毛細胞の発生に関与する候補分子の情報収集と選定作業を行った。候補分子としては、繊毛細胞の発生に特異的な役割を演じていることが知られているAシグナルに注目している。特に、Aシグナル伝達のカスケードで重要な役割を演じている遺伝子Zを筆頭に発現の時期や局在、量等を調査する方法を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞シート上で繊毛発生に関与する候補分子の選定作業に遅延が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト鼻腔粘膜由来の繊毛細胞シートを作製して、選定した候補分子が繊毛細胞の発生にどのように関与しているか等を検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴い、予定していた日にサンプル採取が困難となり、その後の遺伝子発現解析 (RNAseq analysis)実験計画等が中止となったため。
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