2021 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎の克服を目指した新規融合タンパク質の鼻腔組織への有効性
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20K18328
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
清水 皆貴 関西医科大学, 医学部, 助教 (60714962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ECRS / 鼻茸 / IL-1β / TNF-α |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに好酸球性副鼻腔炎(ECRS)のヒト鼻茸組織よりmRNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いてサイトカインの遺伝子発現を確認した。2020年度は、鼻茸中の組織において遺伝子レベルでIL-1βやTNF-αなどの代表的な炎症性サイトカインの遺伝子発現がup regulateされていることが明らかとなった。興味深いことに、ECRS患者の鼻茸を培養した上皮成分と線維芽細胞成分の検討では上皮細胞と線維芽細胞で異なる遺伝子発現パターンを呈したことから上皮と線維芽細胞で異なる働き、もしくは異なる炎症ステージでの働きがある可能性が示唆された。2021年度にはさらにECRSの鼻茸から培養した上皮成分と線維芽細胞においてIL-1βおよびTNF-αで刺激することによりケモカインやサイトカインの産生レベルを検討した。その結果、TNF-αやIL-1β刺激により好酸球性ケモカインやType2サイトカインの他、IL-8やMIFの産生も誘導していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ECRSの鼻茸中においてIL-1βやTNF-αの発現レベルが上昇していることに加え、鼻茸においてIL-1βおよびTNF-αがその他のケモカインやサイトカインを産生増強することが示唆された。すなわち、ECRSの炎症カスケードにおいてIL-1βおよびTNF-αが重要な働きをしていることが予想される。初期の段階で、IL-1βおよびTNF-αを効率的に抑制することができれば病態制御に寄与できる可能性があることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はインヒビターを用いて抑制実験を行うと共に、IL-1βとTNF-αのシグナル伝達経路を検証することにより更なる病態解明と新規治療ターゲットとしての可能性を探っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りだが、サンプル数が予想より少なかった。令和4年度は手術件数も増え、ヒト鼻茸サンプル数も増えるためPCRによる遺伝子レベルの解析やELISAなどのタンパク解析試薬の購入にあてる予定である。
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