2022 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球性副鼻腔炎の克服を目指した新規融合タンパク質の鼻腔組織への有効性
Project/Area Number |
20K18328
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
清水 皆貴 関西医科大学, 医学部, 助教 (60714962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鼻腔組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
難病疾患に指定された経緯をもつ好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は、血中および鼻副鼻腔局所の好酸球が増多する疾患である。癌やアレルギー性鼻炎とともに急増している。一般的な慢性(化膿性)副鼻腔炎の鼻症状に加え、粘度の高い鼻漏、難治性の嗅覚障害、鼻茸、篩骨洞を中心とした炎症、喘息、NSAID不耐症を合併しやすいなどの特徴を持つ。唯一ステロイド治療は一定の効果があるが、長期のステロイド投与はその副作用の点で困難である。手術的加療も行われるがしばしば再発し、いまだ病態の解明や治療法の確立には至っていない。そこで、ECRSの克服を目指して新規な治療方法開発の一助となるべく、罹患患者の鼻腔組織内環境をin vitroで検討してきた。 これまで、好酸球性副鼻腔炎の特徴の一つである鼻茸粘膜と同一患者の他部位の組織を比較するとサイトカインの発現に有意差を認めた。また、鼻腔組織内の異なった細胞種でもサイトカイン発現量に違いを生じていることが明らかとなった。そこで、代表的な炎症性サイトカインで鼻腔組織内の細胞を刺激すると複数のサイトカインの産生を亢進することが明らかとなった。また、炎症性サイトカインにより誘導された他のサイトカインは中和抗体にて産生が抑制されることがわかった。基点となるサイトカインを複数同時に抑制することでサイトカインカスケードをブロックし、ECRSの病態コントロールのきっかけになる可能性があると考える。
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