2020 Fiscal Year Research-status Report
疾患特異的iPS細胞を用いたドルーゼン形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K18341
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 由美 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (70867481)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | iPS-RPE / Malattia Leventinese / ドルーゼン / 加齢黄斑変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は加齢黄斑変性の前駆病変であるドルーゼン形成のメカニズムを解明することである。網膜色素上皮細胞(RPE)は、脂質膜である外節を貪食・消化し、脂質の代謝が最も盛んな細胞の一つであり、機能障害が起きると、ドルーゼンと呼ばれる脂質を中心とした老廃物が網膜色素上皮下に沈着する。ドルーゼン形成メカニズムを解明することで、加齢黄斑変性の予防治療法の開発に繋げることができる。これまで、患者から病変組織を採取することは不可能であり病態の解明は困難であった。しかし私たちはiPS細胞から網膜色素上皮細胞(iPS-RPE)へ分化誘導する方法を確立し、患者由来iPS-RPEを得ることができるようになった。そこで、眼底に多数のドルーゼンを生じる遺伝性の黄斑変性疾患であるMalattia Leventinese患者由来iPS-RPEを用いて細胞内の脂質プロファイルを調べ、iPS-RPEの形態・貪食能・消化能及びドルーゼン形成能を評価し、脂質プロファイルとの関連を検討することで、ドルーゼン形成のメカニズムを解明する。 1、患者由来iPS細胞(MAL)並びに健常コントロール由来iPS細胞(NOR)を樹立し、これらのiPS細胞からiPS-RPEを分化させた。 2、MAL及びNORのiPS-RPEの形態評価及び機能評価を行った。形態評価は分化させた細胞を光学顕微鏡での観察及び、蛍光顕微鏡での観察をすることで実施した。機能評価はiPS-RPEの貪食能及び代謝能を調べるため、摘出牛眼視細胞外節を細胞に貪食させ、FACS解析並びにロドプシンのウエスタンブロッティングを実施した。 3、加齢模倣培養(摘出牛眼視細胞外節の一ヶ月継続投与)を行い、上記と同様、形態評価及び機能評価を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記載した通り、2020年度の研究計画は順調に進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究計画では、ストレス無負荷iPS-RPE及び加齢模倣培養したiPS-RPE並びにその培養液に関して、LC-MS/MSを用い、脂肪酸代謝物の網羅的ノンターゲット解析を行い、脂質プロファイリングを明らかにし、ドルーゼン形成のメカニズムを解明する。
|
Causes of Carryover |
2020年度は学会への参加費や出張への旅費の計上がなかった。 2021年度は理化学研究所(横浜)へ脂質解析のための出張、研究成果発表のため学会参加費、人件費、電子顕微鏡利用費、英文校正費、論文掲載費をそれぞれ計上予定。
|