2021 Fiscal Year Research-status Report
New treatment for infectious keratitis with photochemical reaction
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20K18343
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
末岡 健太郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座助教 (20868228)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光線力学的抗微生物化学療法 / PACT / 半導体レーザー(Laser Diode) / 発光ダイオード(LED) / パルス照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,光線力学的抗微生物化学療法(photodynamic antimicrobial chemotherapy: PACT)を用いた、抗微生物薬に頼らない新たな角膜感染症治療法の確立が究極の目的である。新規光感受性物質である水溶性カチオン性クロリン誘導体TONS504を用いている。 これまで光源として使用してきた発光ダイオード(light emission diode:LED)と新たに準備したパルス照射モードを有する半導体レーザー(laser diode:LD)をin vitroで比較検討した。LEDと異なりLDでは水平方向減弱はなく、温度上昇への影響は、LED連続照射>LD連続照射>LDパルス照射の順に大きく、光増感剤TONS504の濃度に応じた温度上昇を示した。In vitroでS. aureusに対するTONS504-PACTで、LED連続照射、LD連続照射、LDパルス照射いずれもTONS504濃度に応じた抗微生物効果を示し、LDパルス照射がやや抗微生物効果が強い傾向にあった。 In vitroは安定した光特性を有している新規光照射装置LDを継続して用い、さらなる抗微生物効果を得るため、界面活性剤やキレート剤を添加し、抗微生物効果の増強をみとめた。S. aureus、P. aeruginosaに対する界面活性剤、キレート剤添加TONS504-PACTで、一定の抗微生物効果の増強をみとめたが、菌種による差があった。In vivoでは、S. aureus、P. aeruginosa、ヘルペスの角膜感染モデルを安定して作成できたが、いまだTONS504-PACTの有効性を見出すまでは至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、in vitroでは安定した光特性をみとめた新規光照射装置LDを用いた。点眼薬に添加されることが多い界面活性剤である塩化ベンザルコニウム(BAC)、キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加してTONS504-PACTの抗微生物効果の増強を試みた。S. aureusではいずれの添加でも抗微生物効果は増強され、BACの方が著しく増強した。一方、P. aeruginosaでは、EDTAのみ増強効果があり、P. aeruginosaのBAC抵抗性が関係していることが示唆された。In vivoは、vivo用LDの設計、作製にまで至っておらず、従来型のvivo用LED光照射装置を用いた。S. aureusは菌液の実質内注入、P. aeruginosaは角膜スクラッチへの菌液滴下、ヘルペスは角膜soft needle touch後の菌液滴下で角膜感染モデルを作成した。いずれも臨床スコアリング評価で、TONS504-PACTの抗微生物効果はみとめなかった。ヘルペスに関しては涙液中のウイルスコピー数もコントロールと有意差がなかった。In vivoで種々の条件検索を継続して行っているが、いまだ有効なPACT条件を見いだせていない。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroは本研究で得られた新規光照射装置LDの光安定性の結果を踏まえ、継続してLDを用いる予定である。引き続きより効率の良いPACT条件の検索を継続して行い、未評価であるC. albicansなどの酵母型真菌やFusarium、Aspergillusなどの糸状型真菌、アカントアメーバなどに対する検討を行う。In vitroで得られた界面活性剤BAC、キレート剤EDTA添加による抗微生物効果の増強結果を踏まえ、in vivoにおける抗微生物効果の増強を図る。また、今回の研究で得られた従来型光照射装置LEDと新規光照射装置LDの比較検討、界面活性剤およびキレート剤添加による抗微生物効果の増強の結果を論文投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
学会などがオンライン開催となり旅費を要さなかった。また、in vivo用レーザー装置の設計、作製まで至らなかった。 In vitroでは新規光照射装置LDを用いた抗微生物効果が未評価の菌種(酵母型・糸状型真菌、アカントアメーバなど)に対する検討を行う。In vivoではBAC、EDTA添加による抗微生物効果の増強を図る。また、今回の研究で得られた従来型光照射装置LEDと新規光照射装置LDの比較検討、界面活性剤およびキレート剤添加による抗微生物効果の増強の結果を論文投稿する予定である。
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