2020 Fiscal Year Research-status Report
網膜変性疾患における熱ショック転写因子1の病態解明と網膜神経保護薬の開発
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20K18344
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
波多野 誠 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90860669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 網膜変性 / HSF1 / HSP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、網膜神経細胞保護における熱ショック転写因子1(HSF1)の分子機序を明らかにし、最終的には種々の原因による網膜変性疾患の抑制ならびに網膜神経保護作用を有する新たな治療薬の開発を目指す。研究実施計画は以下の4つに分けられる。(1)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1と関連する分子の同定(2)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1の神経保護作用の検討(3)網膜神経細胞の培養細胞におけるHSF1関連分子の機能解析(4)網膜神経細胞の培養細胞における神経保護作用の検討である。 (1)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1と関連する分子の同定:HSF1ノックアウトマウスを用いて、光刺激による網膜障害におけるHSF1と関係する分子や機能パスウェイを検討するため網羅的RNAシークエンス解析を行った。HSF1ノックアウトマウスおよび野生型マウスに光刺激を与え、24時間後に網膜からRNAを抽出し次世代シークエンサーで解析した。結果から、HSF1の有無がmRNAレベルで光誘因性網膜変性モデルにどのような変化を起こすか調べた。(2)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1の神経保護作用の検討:(1)より得られた結果から、光誘因性網膜変性モデルにおいて、変化しているタンパク質の発現ならびに局在変化をウエスタンブロッティングにて同定した。(3)、(4)については未実施である。 ここまでの実施した研究成果からはHSF1が光誘因性網膜変性モデルにおいてmRNAおよびタンパク質で調べた結果から、ある程度の整合性のある変化が起こっていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(2)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1の神経保護作用の検討において、該当阻害薬のマウスへの投与方法について、再現性のあるアッセイの樹立に時間を要している。 (3)網膜神経細胞の培養細胞におけるHSF1関連分子の機能解析において、CRISPER/Cas9 systemによるHSF1ノックアウト網膜神経細胞株(661w HSF1-/-)は既に樹立済みだが、光刺激による細胞死の反応が強く、サンプルの回収が難しいためにアッセイの樹立に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
(2)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1の神経保護作用の検討、(3)網膜神経細胞の培養細胞におけるHSF1関連分子の機能解析については引き続き研究をすすめ、(4)網膜神経細胞の培養細胞における神経保護作用の検討を行う。
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Causes of Carryover |
(2)光誘因性網膜変性モデルにおけるHSF1の神経保護作用の検討、(3)網膜神経細胞の培養細胞におけるHSF1関連分子の機能解析の研究において研究計画に遅れがでたため、当初今年度に購入予定であった試薬などを未購入である。 (4)網膜神経細胞の培養細胞における神経保護作用の検討では(3)の結果に応じて該当の抗体・試薬を購入する。siRNA、ブロッキング抗体や阻害薬などを用いて、関連タンパク質の発現、機能抑制を試み、細胞死をin vitroで検討する。
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Research Products
(8 results)