2020 Fiscal Year Research-status Report
増殖糖尿病網膜症におけるCdk5とERK回路の関与について
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20K18345
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
仁木 昌徳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (20861082)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外科 / 細胞・組織 / 生体分子 / 糖尿病 / 臨床 |
Outline of Annual Research Achievements |
増殖糖尿病網膜症(PDR)患者24例(1型糖尿病患者3例、2型糖尿病患者21例)24眼から硝子体手術中に眼内灌流液で希釈されていない硝子体液を採取した。女性14人、男性10人で、平均年齢は57.8歳±15.0歳であった。糖尿病の持続期間は、PDR患者の平均11.3±8.4年であった。対照群は、特発性黄斑上膜(ERM)および特発性黄斑円孔(MH)で硝子体手術を受けた63人63眼とした。対照群は女性36人、男性27人であり、平均年齢は 68.1歳±7.5歳だった。 PDR群と対照群(p<0.001)の平均年齢には有意差があった。 また、PDR患者7例の増殖膜、対照群であるERM患者5例から網膜前膜を採取し、硝子体液および増殖膜検体は直ちに凍結させアッセイするまで-80℃で冷凍保存とした。 PDR患者の増殖膜および特発性ERMの網膜前膜におけるPPARγ、Cdk5およびp35のmRNAの発現レベルを定量的PCR分析で調べた。PPARγのmRNAの発現レベルは、対照群の患者(0.0.033±0.053、p=0.018)よりもPDR患者(0.79±1.25)で有意に高かった。同様に、Cdk5のmRNAの発現レベルは、対照群の患者(0.45±0.29、p=0.028)よりもPDR患(13.55±14.17)で有意に高かった。p35のmRNAの発現レベルは、対照群の患者(0.0051±0.0032、p=0.042)よりもPDR患者0.077±0.070で有意に高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト手術検体であるPDR群の患者と対照群の患者の硝子体液および増殖膜、網膜前膜を回収、保存することができた。増殖膜および網膜前膜の検体からRNA抽出、cDNAを合成し、定量的PCR法により、両群のPPARγ、Cdk5、p35の遺伝子発現パターンを比較することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト手術検体であるPDR群の増殖膜と対照群の網膜前膜において免疫蛍光染色を行い、PPARγ、Cdk5およびp35のタンパク質の発現の差について解析する。定量分析で蛍光強度を比較し、発現の部位についても観察する。
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