2020 Fiscal Year Research-status Report
内的酸化ストレスに惹起される角膜内皮細胞減少の分子機構解明と予防
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20K18360
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
尾内 宏美 東海大学, 医学部, 講師 (00580135)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内的酸化ストレス / 角膜内皮細胞 / リポファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、エネルギー代謝の副産物としてミトコンドリア電子伝達系から発生するスーパーオキサイド(O2・-)に起因する内的酸化ストレスによって角膜内皮細胞が減少することを明らかにしている。しかし、内的酸化ストレスに伴う角膜内皮細胞の減少の分子機序は不明のままであった。そこで本研究では、内的酸化ストレスに伴う角膜内皮細胞の減少の分子機序を明らかにすることを目的とし、2020年度は角膜内皮細胞のin vitro培養系を確立し、細胞レベルでの角膜内皮細胞の障害解析を行ってきた。 酸化ストレスモデルマウスであるTet-mev-1マウスの角膜内皮細胞でin vitro実験を行うために、まずマウスの角膜内皮細胞培養系の確立を行った。マウスの角膜内皮細胞培養方法の報告はこれまでになく、様々な方法で培養を試みた。その結果、マウスの角膜をホールマウント状にして角膜内皮側をプレートに接着させ、培養液に浸すことで、組織から細胞が徐々に増殖することを確認し、培養に成功した。さらに角膜内皮細胞特異的マーカーであるCOL8A2で免疫染色を行い角膜内皮細胞であることも確認した。 また、βカテニンと細胞増殖のマーカーであるKi-67による免疫染色を行い、組織から離れた面積が増大している細胞ではKi67は染色されず、組織に近い細胞でKi-67染色が多数確認され、増大している細胞での増殖能の低下を確認した。 さらに培養日数を経ていくにつれて、角膜内皮細胞の面積が増大し、さらに脂肪滴様の変化が認められた。上述より面積が増大している細胞は増殖能を有していなかったことから、角膜内皮細胞の減少や老化にリポファジーの異常による細胞死が関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化ストレスモデルマウスであるTet-mev-1マウスの角膜内皮細胞でin vitro実験を行うために、まず初年度はマウスの角膜内皮細胞培養系の確立を行いたく、これを確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020度確立したin vitro培養系では、異常な脂肪滴の蓄積を伴う細胞死顆粒が顕著に確認されたことから、角膜内皮細胞の減少や老化にリポファジーの異常による脂質代謝誘導性の細胞死が関わっていることが示唆された。本研究では、内的酸化ストレスに伴う角膜内皮細胞減少に、リポファジーの異常による細胞死が関与しているとの仮説のもと、2021年度は角膜内皮細胞の脂肪代謝に焦点を当てて研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ渦であったため、海外、国内出張ができなかったためその分次年度使用額が生じた。2021年度は再度学会への渡航費に使用する予定であることと、抗体使用による実験が多くなるため、これに用いる予定。
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