2020 Fiscal Year Research-status Report
視神経乳頭・周辺組織による正常近視眼と緑内障近視眼の鑑別
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20K18368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西岡 瞳 (齋藤瞳) 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40870069)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 緑内障 / 光干渉断層計 / 近視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では眼底カメラ付きSwept-source OCTを用いて、近視以外の眼疾患を有さない「正常近視眼」と近視を有し、かつ緑内障と診断されている「緑内障近視眼」のOCTデータ、眼底写真を収集する予定であったが、現時点でデータ収集は7割程度完了しており、今年度中に最終データ取得予定である。また、背景データとして、年齢、性別などの基本情報、OCT撮影日の前後3ヶ月以内の視力、屈折、眼軸長、中心角膜厚、静的視野検査結果を収集している。 ① 取得した画像よりSS-OCTの器械内に既に搭載されている解析プログラムを用いて網膜神経節細胞層(Ganglion cell layer)・内網状層(inner plexiform layer)・網膜神経線維層(retinal nerve fiber layer)、乳頭周囲の脈絡膜厚(choroidal thickness)、視神経乳頭の乳頭面積、rim面積、cup面積、cup体積、cup/disc面積比等を計測した。 ②さらに、取得した網膜断層像から色素上皮断端、Bruch膜開口部(Bruch's membrane opening: BMO)、anterior scleral canal opening (ASCO), を手動で同定するソフトウェアを開発した。得られた情報よりBMO平面、ASCO平面の面積や形状、BMO/ASCO 平面のずれの距離や角度、傍乳頭網脈絡膜萎縮(peripapillary atrophy: PPA)などのパラメータを新たに算出した。 ③正常眼、緑内障眼ともに既存解析プログラム、新しいソフトウェアによるパラメータ算出はほぼ終了している。現在正常眼において、SS-OCTで得られたどのようなパラメータが眼軸長延長とともに変化しているかを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集に関してはコロナウイルスの流行により、緊急事態宣言中の患者の受診控えが続いた時期などがあり、やや遅れがあったものの、今年度中には終了予定となっている。現在緑内障眼のデータ収集を行っている。 視神経乳頭周辺の形状解析ソフトの開発は予定通り進行している。既に取得済みのデータに関しては既存の解析ソフトによるパラメータ算出は完了しており、新規作成したソフトで乳頭内の構造の部位同定を手動を行う作業も順調に進んでいる。得られたパラメータを用いて統計解析を順次進めている状況である。随時ソフトの改良や新しいパラメータの探索も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ取得が済んでいない緑内障眼に関しては今年度内にデータ収集を完了する予定である。その後各症例のデータのquality checkやプロトコールからの逸脱がないかどうかなどの確認をし、最終採用データを決定していく予定である。 既に作成されている乳頭周辺の形状解析ソフトの改良や篩状板周辺のパラメータを含む新しいパラメータの計測も今後していく予定である。 正常眼のデータはほぼ完了しているので、統計解析の段階に至っているので、近視性変化と最も関連している視神経乳頭形状パラメータの探索を続けていく予定である。また、緑内障眼の最終採用データが確定した段階で正常眼と緑内障眼の比較を開始していく予定である。また、随時得られた結果を学会発表、論文化していく予定である。本年の国際緑内障学会と日本緑内障学会にそれぞれ2演題ずつ投稿している(採択結果は5月後半の予定)
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Causes of Carryover |
令和2年度はコロナウイルスの流行ですべての学会がオンラインとなってしまったため、学会出席はしたものの予定していた学会出張費などがなくなり旅費がなくなってしまったことが大きく影響していると思われる。 また、雇用予定だった検査技師もコロナで応募がなく、研究者が自ら検査を行ったことも影響している。次年度は検査に関しては技師の雇用を検討している。
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