2020 Fiscal Year Research-status Report
山形県における増殖糖尿病網膜症患者長期経過観察システムとデータベースの構築
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20K18373
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西 勝弘 山形大学, 医学部, 助教 (90612226)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 増殖糖尿病網膜症 / 長期視力予後 / データベース / 硝子体手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
山形県の増殖糖尿病網膜症の硝子体手術症例の情報について、診療録や手術所見などから情報を抽出し、データベース化を進めた。山形大学医学部眼科を拠点とし、県内の医療機関と連携し、術後で他院に紹介となった患者についての情報も収集することで、データベースの欠損値や脱落をなるべく少なくする取り組みを行った。2006年から2017年度まではすでにデータベース化がなされていたが、2018年から2020年度についてのデータベース構築を進めてきた。 本データベースにより硝子体手術術後長期予後の追跡が可能となったことを利用して、2008年から2012年に増殖糖尿病網膜症に対して硝子体手術治療を施行された100例128眼について、術後2年、術後4年時点での視力予後に関連する因子について統計学的検討を行った。 術後視力には術前所見と再手術施行の有無が関連した。術後2年時点において、矯正視力0.5以上に術前虹彩ルベオーシスなし、増殖膜なしが関連し、矯正視力0.7以上に術前ルベオーシスなし、硝子体出血ありが関連した。術後4年時点において矯正視力0.5以上に増殖膜なし、再手術なしが関連し、矯正視力0.7以上に術前虹彩ルベオーシスなし、増殖膜なし、再手術なしが関連した。一方で術前HbA1cをはじめとする全身因子は術後視力予後に関連しなかった。 増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術治療戦略として、眼科として手術適応所見を認めた場合には、内科での血糖コントロール治療経過を待たず、内科治療と並行して可能な限り早期に硝子体手術治療を行うことが、さらなる術後視力予後向上に寄与できると考えられた。この研究結果を国際誌で論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術治療を施行された患者のデータベース作成は順調に進んでいる。県内の連携した医療機関に紹介となった患者の情報についても収集を進めており、欠損値や脱落を可能な限り少なくしたデータベース作成ができている。特に2008年~2012年のデータにおいては、術後2年、術後4年時点の視力予後に関連する因子について検討し、国際誌で論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術治療を受けた患者に関するデータベースについて、引き続き作成を続ける。 これまでの後ろ向きコホート研究によって見出された、増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術治療後の視力予後に関連する因子について、その検証作業を前向き研究によって行う。 増殖糖尿病網膜症の硝子体手術治療のプロトコールを策定し、学内倫理委員会で承認を得たうえで運用し、術後視力を前向きに追跡する。
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Causes of Carryover |
2020年度に購入予定としていた物品が一部キャンセルとなった。2021年度に購入する予定である。
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Research Products
(5 results)