2020 Fiscal Year Research-status Report
RPE細胞のEMTにおける新規ベンゾイルフェニルウレア化合物の作用機序の解明
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20K18383
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 正明 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70845015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RPE細胞 / BPU / nAMD |
Outline of Annual Research Achievements |
網脈絡膜における線維化は、不可逆な視力障害を引き起こす一方で、未だ治療方法が確立されていない病態である。たとえば、nAMDは瘢痕期に網膜下線維症を生じることで社会的失明をもたらす難治性疾患であるが、現行治療の第一選択である抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬は姑息的かつ治療抵抗例がある治療法であり、新たな治療薬の開発が望まれる。本研究では、新規に合成した低分子化合物BPU17がもつ線維性増殖に対する作用、およびその分子標的を明らかにする。 本研究の目的は、滲出型加齢黄斑変性(nAMD)瘢痕期における網膜下線維症を抑制する化合物の同定とその作用機序を解明することで、臨床応用の可能性を検討することにある。本研究では、nAMDの長期的な視力障害の一因が網膜下線維性増殖にあるという考えに基づき、既存薬と異なる作用機序によって線維化を制御することで、網膜下線維症による視機能障害を防ぐという特徴がある。網膜色素上皮(RPE)細胞を標的として、網膜下線維性増殖の分子機序を明らかにする。 本研究では、創傷治癒アッセイを用いたRPE細胞の遊走能とBPU17の関連性の検討、C57BL/6Jマウスを用いた網膜下線維症モデルによるBPU17の線維化抑制効果の検討、培養RPE細胞の抽出物を用いた次世代シーケンサー解析による分子標的の解明の3点を主な研究計画としている。当該年度に実施した研究では、C57BL/6Jマウスに網膜光凝固術を施行し網膜下線維症を誘導したモデルマウスを作成した上で、硝子体腔内にBPU17を投与して、網膜下線維症の面積を測定し、薬剤濃度との関連を比較検討した。成果として、BPU17に対する濃度依存的な網膜下線維症の縮小傾向が見られたが、現時点で再現性を持った有意差は示されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①創傷治癒アッセイを用いたRPE細胞の遊走能とBPU17の関連性の検討、②C57BL/6Jマウスを用いた網膜下線維症モデルによるBPU17の線維化抑制効果の検討、③培養RPE細胞の抽出物を用いた次世代シーケンサー解析による分子標的の解明のうち、①③においては、現時点で検討不十分もしくは未検討である。②については、研究実績の概要に示した通りであった。網膜下線維症に対してBPU17が抑制的に作用する傾向は認められたが、明らかな有意差を持った再現性のある結果は得られず、手技の見直しや薬剤濃度の再検討などに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
①創傷治癒アッセイを用いたRPE細胞の遊走能とBPU17の関連性の検討、②C57BL/6Jマウスを用いた網膜下線維症モデルによるBPU17の線維化抑制効果の検討、③培養RPE細胞の抽出物を用いた次世代シーケンサー解析による分子標的の解明のうち、②については引き続き、条件の再検討を行いながらアッセイを進める。①③については、培養RPE細胞を用いてBPU17のRPEに対する作用を検討する。次世代シーケンサーは当研究室の所有でなく外部施設の解析機器を使用することになるため、①について優先的に検討を開始する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に遅れが見られており、予定したアッセイに未実施や検討不十分が生じている。また、研究者は臨床に携わっており、勤務先における新型コロナウイルス感染症対策等の業務負担増加によって、研究に充てるエフォートが低下したことも、研究費の支出額が減少した要因と考えられる。次年度以降は、本年度に実施が遅れていた培養細胞を用いるアッセイ系の検討を開始し、動物実験においても条件の再検討を行ったアッセイの実施が予定されるため、本年度の減少額とほぼ同額の支出増加が予想される。
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Research Products
(5 results)