2020 Fiscal Year Research-status Report
緑内障評価のための電気生理学的手法に基づくPhNRの研究
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20K18385
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
日高 貴子 宮崎大学, 医学部, 助教 (00751140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PhNR / 緑内障 / 網膜内層機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は研究計画に基づき、緑内障および視神経疾患、白内障症例48例において同意を取得し研究を行った。解析として予備データを含め健常または緑内障を含めた視神経疾患を持たない非緑内障群45眼と開放隅角緑内障患者61人61眼(うち初期17眼、中~後期44人)に対し網膜電位計レチバルを用いPhNRを測定し、PhNR、W-ratio (PhNR/b波を反映する)と視野検査のmean deviation (MD)、視神経乳頭周囲のretinal nerve fiber layer thickness (RNFLT)との相関を検討した。 初期緑内障群は、非緑内障群と比較しPhNR振幅およびW-ratioはともに有意に低下した。(それぞれp=0.043、p=1.23×10e-3)中~後期群において非緑内障群と比較しPhNR振幅およびW-ratioは有意に低下した。(それぞれp=0.162×10e-9、p=0.277×10e-9)初期群においてPhNR振幅、W-ratioとMDは有意な相関関係を示さず、中後期群においてPhNR振幅およびW-ratioとMDは有意な相関関係を示した。(それぞれr=-0.410 p=0.00627、r=0.543 p=0.224×10e3)初期、中後期群ともにPhNRとRNFLTは有意な相関関係を示さなかった。初期群においてW-ratioとRNFLTは有意な相関関係を示さず、中後期群においてW-ratioとMDは有意な相関関係を示した。(r=0.408 p=0.0109) この結果よりPhNRは初期より中後期緑内障において網膜内層機能の評価に役立つと考えられた。またPhNRとb波の比は変動性の改善と感度を上げるという報告があり、PhNR/b波を反映するW-ratioがより鋭敏にMDおよびRNFLTとの相関を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究予定症例数を100例としており、今年度48症例に対し同意取得の上研究を実施しているため、おおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に基づき、補助事業期間1年目は主に開放隅角緑内障のPhNRと副次評価項目の検討、2,3年目で緑内障群と対照群の手術前後の各評価項目の検討を行うとしており、1年目の目標である開放隅角緑内障のPhNRと副次評価項目の検討はおおむねできたと考える。 今後は緑内障群と対照群の手術前後の各評価項目の検討を主に、緑内障または緑内障以外の眼疾患を有さない患者に対し初診時または白内障手術前、術後1か月で測定し解析を行う。主要評価項目としてPhNR、副次評価項目として視力、視野、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography :OCT)、血流(レーザースペックル)の各結果についても同様に検討する。 また開放隅角緑内障に加え、九州に多いとされる落屑緑内障についても症例数の蓄積を行い同項目の検討を行いたいと考える。
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Causes of Carryover |
令和2年度に予定していたパソコンと統計ソフト購入は、現在あるものを使用したため行わなかった。令和3年度に予定している。 また学会参加費については、参加した学会がすべてオンライン開催またはハイブリッド開催であったため予定より少額となった。
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