2021 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素上皮の色素産生能が加齢黄斑変性発症に与える役割
Project/Area Number |
20K18389
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
辻中 大生 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50596749)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | iPS由来網膜色素上皮細胞 / メラニン量 / 喫煙 / 青色光 |
Outline of Annual Research Achievements |
iPS由来網膜色素上皮細胞(iPS-RPE)に喫煙に含まれるハイドロキノン(HQ)を24時間及び7日間添加し、iPS-RPEにおけるメラニン量をELISA法で測定した。また、メラニン産生関連遺伝子(DCT、TYR、TYRP1)並びにメラニン産生カスケードの受容体であるMCR1の発現変化をReal-time RT-PCR法で測定した。さらにHQ刺激下でiPS-RPEを通過する光量を吸光度で測定した。その結果、HQ24時間添加でiPS-RPEのメラニン量は対照に比べ約20%減少した。TYRの発現は変化しなかったが、DCT、TYRP1の発現が低下していた。また、iPS-RPEの吸光度が青色光(450μm)を中心に低下し、青色光がRPEを透過しやすくなっていた。HQ7日間添加では0.2μM群でメラニン量が約30%減少していた。一方、2μM群ではメラニン量が対照群と比べて約15%増加していた。その際TYRの発現は変化なく、DCT、TYRP1の発現は対照群と比較して低下と変わりなかったが、MCR1の発現が有意に増加していた。つまり、HQ短期間刺激ではRPEのメラニン量を低下させ、青色光の透過を高めたと考えられた。しかし、HQ高濃度長期刺激ではメラニン量が増加し、RPEのメラニン量にむらができる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この結果は2022年の日本眼科学会にて発表し、学術展示優秀賞を受賞した。計画的には当初の計画通り推移しており、順調に結果がでていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、in vivoに軸足を移し、マウスにヒドロキノン含有の餌を与え、その後青色光を照射することで、脈絡膜由来の炎症性サイトカイン発現、ならびにその際の好中球の集簇を解析する予定である。また、その結果をまとめ論文を作成し、投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画が前倒しになった結果、次年度の分の支出が前倒しになった。
|