2022 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮の色素産生能が加齢黄斑変性発症に与える役割
Project/Area Number |
20K18389
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
辻中 大生 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (50596749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS由来網膜色素上皮細胞 / メラニン量 / 喫煙 / 青色光 / 加齢黄斑変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、iPS由来網膜色素上皮細胞(iPS-RPE)に喫煙に含まれるハイドロキノン(HQ)を24時間及び7日間添加し、そのRPE細胞に与える影響について検討した。 HQ高濃度長期刺激ではメラニン量が増加していたことから、メラニン量が増加することが、網膜色素上皮にどういった影響が与えるかを検討した。RPE細胞を0 - 2μM HQで1週間処理したのち、培養したiPS-RPE細胞をブールライト遮断群とブルーライト照射群に分け、照射群にのみブルーライトランプを232 lumenで24時間照射した。その結果、ブルーライト照射群でのみ、培養液中のVEGFならびに、RPE細胞からのVEGF遺伝子のmRNA発現が有意に上昇していた。昨年までの研究結果も踏まえると、HQ刺激が短期間の場合メラニン産生量は減少し、脈絡膜へのブルーライト透過性を上げる原因となり、HQ刺激が長期高濃度にわたる場合、逆にメラニン産生量が上昇することで、ブルーライトの吸収が増え、それ自身がRPE細胞からのVEGF分泌を上昇させることがわかった。将来的に、メラニン量を一定化させる機構を発見できれば、加齢黄斑変性の発症予防につながる可能性があると考えている。 これは、加齢黄斑変性発症メカニズム解明として非常に重要であると考えられたため、我々のグループで2022年日本眼科学会に発表し、その際学術展示優秀賞を受賞することができた。また、その受賞講演として、臨床眼科学会に招聘されそこでも上記内容について報告している。 現在、これらの内容を論文化し、投稿する準備を進めている。また、現在マウスにHQを含有させた水を飲ませ、その際のメラニン量の変化や、VEGF値の変化について検討を重ねている。
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