2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of the new treatment applying microbiome analysis in the graft-versus-host disease related dry eye disease
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20K18391
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平塚 諒 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50837440)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドライアイ / 移植片対宿主病 / 診断基準 / 涙液層破壊時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞移植は血液悪性疾患の根治療法として確立されている。その一方で移植後の合併症である移植片対宿主病(Graft-versus-host disease; GVHD)は対象となるレシピエントの長期の生活の質や、視覚の質の低下に影響し、時に致死的となり失明をもたらすこともある。現在のところその病態は不明であり、病態解明、診断基準の統一や重症度分類、治療指針の確立が喫緊の課題である。本課題では、慶應義塾大学病院で造血幹細胞移植施行した後、慢性移植片対宿主病 (GVHD)によるドライアイを新規に発症し、眼科で診断・治療を受けた患者と移植後ドライアイがない患者をコントロールとしGVHDによる全身合併症、眼症状、治療内容等の情報を調査する。現在はまだ統一されたものがない難治性である眼慢性GVHDによるドライアイの本邦における診療と治療法の標準化をはかり国内外へ発信する。研究代表者は研究代表者が所属する研究室より開始された国際眼GVHD会議で共通の認識が得られた検討項目、診断基準を使用して、新しい国際眼GVHDの診断基準の妥当性を評価し、国際眼診断基準と本邦で確立されているドライアイの診断基準との相関性を見出した。一方、研究によりマウスGVHDモデルの涙腺、血清にインフラマゾーム関連分子のひとつであり慢性炎症性疾患に関わるIL-18がGVHD発症時に上昇していることを見出した。IL-18はGVHDによるドライアイの診断、重症度分類の程度を示すマーカーとなる可能性を見出している。眼GVHDによるドライアイの病態解明を行いつつ診断基準、重症度マーカーの決定、治療指針の作成について次の3点を達成することを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、2013年に提案された国際眼GVHD診断基準(Ogawa Y, et al. Sci Rep, 2013)について日本ドライアイ診断基準2016、NIH作成眼GVHD診断基準2014との比較検討を行い、感度、特異度、正確度の検証を行う。検討項目としては、自覚症状、角膜染色スコア、シルマー値、結膜充血の 4項目を抽出し、国際眼GVHD診断基準に検討項目として抜けている涙液層破壊時間との比較検討を行う。予備的にすでに、2014年から2018年までに当院ドライアイ外来を受診した造血幹細胞移植症例48例、48眼を検証し、国際診断基準スコアと日本の診断基準の主要項である涙液層破壊時間(BUT)との相関を検討した結果、両者には有意な逆相関を認め、 (p<0.001,R=0.746)国際診断基準と本邦診断基準双方に相関があることが示唆されている。 臨床検体での検討は、採血、インプレッションサイトロジー、ブラッシュサイトロジー検体をもちいたGVHDによるドライアイの診断に有用なIL-18を含めたインフラマゾーム関連分子について眼GVHDのバイオマーカーの検索を開始する。(倫理委員会承認番号 20090277) 2021年度は1) 慢性眼GVHDによるドライアイの国内外の多施設実態調査 眼GVHDの他の眼合併症、全身合併症との関連、眼GVHDの発症リスクファクターの検討全身GVHDとの関連眼GVHDのみの症例の検討、GVHDの発症臓器の発症の経時的順位の検討等上記項目について多施設調査を行うことで診断・治療に関するエビデンスを構築する。 3) 慢性眼GVHDによるドライアイの重症度分類作成とNIH国際眼GVHDスコアとの比較検討評価が終了した国際診断基準スコアを用いて臨床像と照らし合わせ、重症度分類を検討する。臨床サンプルの血清、結膜上皮ブラッシュサイトロジー検体におけるIL-18の蛋白および遺伝子発現上昇と臨床重症度との相関を調べた。 それらの結果をまとめ、統計解析した論文がocular surfaceに投稿された。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は1)眼GVHDによるドライアイの診療ガイドライン作成現時点で眼GVHDによる統一された 診療ガイドラインは国内外にないため、国内、国外のGVHD研究者と連絡を取り合いガイドライン作成委員会、MINDSにのっとった診療ガイドラインの作成を開始する。診療上のクリニカルクエスチョンを抽出し、 2)眼GVHDによるドライアイのガイドラインの効果を検証、 慢性期後遺症克服のための治療法を確立する。 また、上記期間中に病態解明のため確立されたGVHDマウスモデルを用いた基礎研究も行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大の影響もありスムーズに研究を行うのが困難であるため、次年度使用額が生じた。2022年度にマウスや機器導入等に充てる予定である。
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