2021 Fiscal Year Research-status Report
Impact of retinal disease on visual system
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20K18396
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小川 俊平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70529601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 緑内障 / 白質 / 量的MRI / 拡散強調画像 / トラクトグラフィー / 網膜神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、緑内障患者の視路白質微小構築の変化を、新しいMRI技法であるNODDI、量的MRIを用いて評価し、その結果を国内学会(第10回日本視野画像学会)および、眼科国際誌に公表した(Ogawa et al. IOVS 2022)。 拡散強調画像とdiffusion tensor imaging(DTI)は生体内の水分子の拡散を非侵襲的に計測し、神経軸索の走行を推定するMRI技術である。この技術によって、我々はこれまで網膜疾患者の視路白質の構造変化を明らかにしてきた。しかしDTIは水拡散制限を表現する単純なモデルであるため、敏感であるが、詳細な神経線維の変化の解釈が出来ないというリミテーションがあった。そこで新しい拡散強調画像のモデルであるNODDIと量的MRIという新しいMRI技術を用いて緑内障患者の視路白質を多角的に評価した。対象は緑内障17例と正常30例。前者から神経細胞軸索の特徴と関連する指標(ICVFおよびODI)を、後者からミエリン(脱髄)と相関が高い量的T1値を求め、緑内障と正常視覚者で比較した。 結果、視索では全測定値で緑内障眼と正常群で有意な差を認めた。しかしシナプスを一つ越えた視放線ではICVF値のみが有意な低下であった。このことから結論として、緑内障の白質変化は、視索と視放線で性状が大きく異り、視放線ではICVFの変化から脱髄よりも軸索障害が主体である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により、新規のMRI撮像は実施できなかったが、これまでのデータをまとめ、国際誌に報告することが出来た。また、視覚臨界期に両眼を完全失明した40代男性のMRIデータを取得し、先に報告した緑内障患者の視路白質とその微小構築を比較した。緑内障を有していても視覚入力の残る緑内障群と比較し、視覚入力を臨界期に完全に消失し、かつ網膜神経節細胞が全損された本例の視路白質は著しく低下したFA値を示した。これらの結果と考察を国際学会で発表の予定である(ARVO2022)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで網膜疾患者と正常視覚群での群間比較において、その差を示すことで脳構築変化を示してきた。今後は脳構造変化の原因として、1)視覚入力の減少・途絶自体により、二次的に萎縮が生じているのか、2)網膜の障害程度に応じた経シナプス変性によるのか、3)疾患の経過時間(もしくは1,2の積算)、を明らかにして行きたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響から、新規のMRI撮像をほぼ行うことが出来なかった、このために未使用分が次年度使用額に繰り越された。MRI撮像施設(玉川大学)でのMRI撮像が許可され次第、追加のMRI撮像を行っていきたい。
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Research Products
(3 results)