2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of methods for predicting retinal collateral circulation in retinal vein occlusion.
Project/Area Number |
20K18399
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
大庭 慎平 関西医科大学, 医学部, 助教 (60759538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 網膜静脈閉塞症 / 網膜側副血行路 / 虚血網膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜静脈閉塞症(Retinal Vein Occlusion:以下BRVO)を発症すると、血管の灌流が途絶する網膜無灌流領域(Non-perfusion area:以下 NPA)が生じ病的新生血管の発生から新生血管緑内障など予後不良の経過を辿る場合と、側副血行路が発生し自然軽快する場合がある。しかし、NPAを生じた場合でも新生血管を生じないままの状態を保つこともある。どの経過を辿るかは臨床的に予測困難な場合があり、自然軽快を待たず侵襲的な網膜光凝固術を実施せざるを得ない場合が少なくない。黄斑浮腫や新生血管緑内障を発症した場合は抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)の硝子体注射が適応となるが、NPAの経過を予測できないことが、抗VEGF抗体薬の潜在的な過剰適用に繋がっている可能性も有る。そのため、RVOが自然軽快するための条件などの予後予測方法の開発が強く望まれている。報告者らは、マウスRVOモデルに対する光干渉断層血管撮影(以下OCTA)を用いた解析から、側副血行路が既存の毛細血管網のリモデリングによって形成されるという独自のエビデンスを得ている。また、網膜血管を閉塞させることによりNPAモデルを高確率に作成することに成功している。本研究課題では、このエビデンスをより詳細なデータに基づき証明することで、実臨床におけるOCTAによるNPA迂回性の毛細血管網の詳細把握が自然寛解を予測できることを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
生後2か月のadultマウス(BALB/Cマウス)に全身麻酔下(塩酸ケタミン10mg/kgと塩酸キシラジン3mg/kgを腹腔内に投与)で網膜光凝固を行う。 網膜光凝固を行う際には事前に光感受性物質であるロ-ズベンガル液(5mg/ml食塩水、0.15ml)を腹腔内に注射する。ロ-ズベンガル液が網膜血管に行き渡り、かつ消失する前(3分以内)に光凝固を行う。ローズベンガル液は光の吸収波長が532μmであり、その波長に応じたレ-ザ-波長で光凝固を行う。BALB/Cマウス(いわゆる白マウス)では網膜のメラニン色素が少ないため、血管周辺網膜を凝固させずに、光感受性物質を流し込んだ血管だけを集中的に凝固することができる。以上のようにしてBRVOモデルを作成する。レーザー照射の際は工夫が必要で、ヒトのBRVOと同じように静脈を1本閉塞させただけでは広範囲のNPAは形成されず、両隣に隣接する血管も閉塞させる必要がある。 上記の方法で広範囲なNPAを高確率で作成することに成功し、その画像結果を2021年度日本眼科学会で報告した。ただし網膜光凝固術を行なったあとの網膜は菲薄化しているため標本作成が困難で、組織学的検討の進捗状況が良くない。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は側副血行路の発達に生理活性シグナル伝達分子スフィンゴシン1リン酸(S1P)に結合するGタンパク質共役受容体であるS1PR1が関与している可能性を報告した(HajimeTakahashi et al, Heliyon, 1-9, 2021)。今回広範囲なNPAモデルの作成に成功したため、虚血網膜がNPAを形成するのか、側副血行路を形成するのかをS1PR1を用いて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の進捗具合により物品購入の納期が遅れたため、次年度に繰り越し計画的に使用予定。
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