2020 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素上皮細胞en face画像と硝子体液解析による黄斑微小環境の解明
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20K18405
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 寛 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60850899)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 細胞形態 / 細胞機能 / 細胞代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄斑円孔手術術後の視機能回復不全は、視機能を司る感覚網膜(視細胞)ではなく、視細胞の健常性を担保している網膜色素上皮細胞(RPE)の変性と黄斑局所微小環境の悪化によって惹起されるとの斬新な概念を提供する。 今一つの学術的特色は、最新の網膜2 次元画像取得技術である補償光学適用走査型レーザー検眼鏡(AO-SLO)技術を用いてRPE が硝子体腔に露出した黄斑円孔症例において、細胞レベルでの画像解析に耐えうる鮮明な二次元RPE 画像を取得可能であることに着目し、申請者らがごく最近に開発した2次元細胞集団の恒常性解析技術を組み合わせて網膜色素上皮細胞(RPE)を非侵襲的に評価することである。最終的には本件研究での成果を礎としてAO-SLO 二次元RPE画像と硝子体液サイトカイン特性を組み合わせた黄斑円孔予後予測法の創出を目標としている。 網羅的硝子体液サイトカイン解析においては黄斑円孔のみならず、裂孔原性網膜剥離、黄斑上膜などコントロールとなる疾患においても硝子体液をサンプリングし、保存している。症例数が一定数まで集めれた時点で網羅的PCR解析を予定している。 培養ヒトRPE 細胞変性モデルの構築においては不死化ヒトRPE 細胞(ARPE-19)を用いた分化培地(RA Hazim, et al. Exp Eye Res. 2019)を用いて従来培地群とRPEの形態、機能評価、細胞代謝におけるミトコンドリア呼吸能の比較を行い、その差を明らかにし、第125回日本眼科学会総会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ARPE-19を用いたin vitro細胞培養において、既報(Exp Eye Res. 2020)のニコチンアミドを培地に添加する方法を用いることで従来培地(DMEM/F-12)と比較して、細胞の分化を促進し、ミトコンドリア代謝の向上と細胞機能が異なる細胞集団2群を安定して作成することに成功し、それを報告した(第125回日本眼科学会総会)。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的硝子体液サイトカイン解析においては黄斑円孔のみならず、裂孔原性網膜剥離、黄斑上膜などコントロールとなる疾患においても硝子体液をサンプリングし、保存している。症例数が一定数まで集めれた時点で網羅的PCR解析を予定している。 培養ヒトRPE 細胞変性モデルの構築においては不死化ヒトRPE 細胞(ARPE-19)を用いた分化培地(RA Hazim, et al. Exp Eye Res. 2019)を用いて従来培地群とRPEの形態、機能評価、細胞代謝におけるミトコンドリア呼吸能の比較を行い、その差を明らかにした。今後、上記in vitro画像と機能結果の差をin vivoに投影し評価を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の拡大の影響により、基礎研究の一時中断や、物品の購入が困難となった。 また国内学会、海外学会ともに参加が困難となり研究費の使用が予定に届かず、次年度に繰り越すこととなった。 研究加速のために、研究補助員の雇用を予定し、繰り越し金をその費用にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)