2020 Fiscal Year Research-status Report
多能性幹細胞から分化誘導した神経オルガノイドによる末梢神経再建
Project/Area Number |
20K18409
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小川 和也 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (10792955)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | オルガノイド / 運動機能再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経の欠損は、腫瘍切除や外傷などにより生じ、部位に応じた麻痺を起こす。治療法としては、「軸索再建」を目的に、自家神経移植やポリグリコール酸やポリ乳酸製の人工神経(吸収性神経誘導チューブ)が標準治療として行われているが、再生まで時間を要するため、十分な回復が得られないことも多い。本研究は、従来のように軸索構造を再建するのではなく、「神経伝達の機能的再建」を目的として、多能性幹細胞からオルガノイド培養法によって作成した「軸索構造を有する、生きた神経細胞オルガノイド」を神経欠損部に移植する新しい治療的介入方法の確立を目指すものである。 一方向性に伸びた軸索を有する末梢神経オルガノイド(神経オルガノイド)は、マウスiPS細胞を末梢神経前駆細胞へと分化誘導させ、シリコンで成形した微小チャンバーおよびマイクロ流路内で非接着3次元スフェロイド培養することで作成できるが、着実な伝導能を持つ頑丈な神経オルガノイドを作成するために、それらを束ねること、髄鞘を付加すること、を目的に作成方法を検討した。まとめる方法としては拡大鏡を用いることで対応できるが、髄鞘を付加するために、3Dバイオプリンターの利用を考慮した。まず、上記方法である程度軸索を伸長させたのちに、バイオインクとオリゴデンドロサイトを混合したものを軸索周囲に注入し、各軸索が離開しないように成形する。また、バイオインクによる足場をつくることでより効率的な髄鞘の付加を図ることを考案した。そうすることで生体への移植も安定化するものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究機関の移動や、機器の導入に時間を要したため、当初の想定よりも遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
また生体への移植が現実的に可能な強度をもつ神経オルガノイドを作成できる研究環境が整ったため、細胞培養からオルガノイドの成形、生体への移植、機能の評価までを行っていく。
|
Causes of Carryover |
研究機関の変更により、研究が当初の予定より遅れ、次年度使用額が生じた。
|