2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K18413
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
眞田 紗代子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (60866044)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト角化細胞 / 有棘細胞癌 / SPOP |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、SNX9と結合するユビキチンリガーゼ複合体の足場タンパク質としてSPOPを同定した。SPOPの標的基質タンパク質にはDNA損傷応答因子や癌遺伝子産物も含まれ、SPOPの機能不全は各癌腫の発癌に関与すること知られている。我々は、血管内皮細胞と角化細胞を用いてSPOPの生理機能の解析をすすめたところ、ヒト角化細胞においてSPOPが細胞分裂周期を制御することが明らかとなった。そこで、ヒト角化細胞を用いてDNA損傷・複製過程におけるSPOPの機能解析を行い、その生理的役割の解明を目指した。 具体的には、ヒト不死化角化細胞であるHaCaT細胞において、SPOPをsiRNAにより発現抑制し、細胞増殖やDNA複製について検討した。結果、SPOPの発現抑制により、HaCaT細胞の増殖は著しく抑制された。細胞分裂周期解析ではG1期で止まる細胞の割合が増加し、S期の割合が減少した。また、EdU取り込みによるDNA複製標識の解析では、DNAの新規合成が阻害された。さらに、生化学的分析から、複製ライセンシング因子であるCDT1とCDC6の翻訳が阻害されることが分かった。 以上の結果から、SPOPはHaCaT細胞において細胞分裂周期におけるS期進行の開始において重要な役割を果たすと考えられ、その機能低下は正常なDNA複製を損なうことが示唆された。DNA複製の異常は老化や発癌の原因となることから、SPOPの機能維持は角化細胞の老化や癌化の予防に極めて重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)