2022 Fiscal Year Annual Research Report
コラゲナーゼ表面処理を行った微細加工軟骨の性状が軟骨再生に及ぼす影響
Project/Area Number |
20K18425
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
伊谷 善仁 近畿大学, 医学部, 講師 (70510973)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / 微細加工軟骨 / コラゲナーゼ処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
耳介軟骨を微細加工して軟骨細胞および細胞外基質を含む均一サイズのマイクロ軟骨を作製し, これを細胞供給源として新規軟骨再生技術の確立を試みてきた. 本研究では, 細胞外基質に注目し, マイクロ軟骨にコラゲナーゼ処理を加え, 有用性, 至適処理時間, およびマイクロ軟骨の必要播種量について検討した. 方法:イヌ耳介軟骨で一辺を約200μmとするマイクロ軟骨を作製した. コラゲナーゼ処理後のマイクロ軟骨の形状を, 粒度分布計, 透過型・走査型電子顕微鏡で観察した. さらに免疫組織染色法で, 細胞接着因子であるフィブロネクチンを染色し, コラゲナーゼ処理の効果を検討した(実験1). 次に, コラゲナーゼ処理時間の異なる3群(15, 60, 120分)を設定し、至適処理時間を検討した(実験2). さらに播種するマイクロ軟骨量の異なる4群(8, 12.5, 25, 50%)を設定し、播種量の最適化を検討した(実験3). 結果:コラゲナーゼ処理によりマイクロ軟骨の細胞外基質表面は分解され, 細胞外基質の粗造化と軟骨細胞の表面への露出を認めた. フィブロネクチンは,コラゲナーゼ処理時間が長い程増強していた. 移植後10週目の結果より, 最適な軟骨再生誘導条件は, コラゲナーゼ処理時間60分, マイクロ軟骨播種量12.5%, マイクロ軟骨間距離548μmであることが判明した. 本法を用いた耳介形状軟骨の新規再生誘導法の有用性が示唆された. 本法は, (1) 一度の手術で採取から移植までの全工程 (組織採取, マイクロ軟骨の作製, 移植) が完結できるため手術室完結型の軟骨再生が可能であること, (2) 現在主流の再生医療において必須とされる細胞培養施設を用いないため, 細胞培養工程のない低コストの軟骨再生が可能となること, などの特徴を有していると考えられる.
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