2020 Fiscal Year Annual Research Report
セレコキシブによる新規ケロイド・肥厚性瘢痕治療法の開発に向けた基盤研究
Project/Area Number |
20K18429
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松永 洋明 産業医科大学, 大学病院, 助教 (40792966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / 強皮症 / セレコキシブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、GSK-3β-KOマウスと野生型マウスを用いて、ケロイド・肥厚性瘢痕形成におけるGSK-3を介した筋線維芽細胞制御機構からの発症メカニズムを明らかにするとともに、GSK-3活性化作用と抗炎症作用を併せ持つセレコキシブの治療効果を検討することで新たな治療法の開発へと繋げることを目的としており、同時にこれらの検討を行う上で必要な信頼性のある動物瘢痕モデルの作成を目指した。この中で、初年度は動物瘢痕モデルの作成を行なった。 C57/BL6マウス(8-10週齢)に対し、セボフルラン吸入麻酔下で背部に直径8mmの皮膚生検トレパンを用いて円形皮膚全層欠損創を作製し、この創傷が収縮しないよう円柱状の創傷収縮抑制リングを周囲皮膚に縫い付けた。これにより創傷の収縮および周囲からの上皮化を制御し線維化を促した。1週間ごとに創傷の一部を採取してH&E染色、Masson trichrome染色を行い、線維化を継時的に観察し、ケロイド・肥厚性瘢痕モデルとしての有用性を評価した。しかし、いずれの週数においても肥厚性瘢痕やケロイドの所見を呈することはなかった。そこで、ケロイド・肥厚性瘢痕は真皮の線維化や肥厚を生じることから、全身性強皮症に着目しモデル作成を行うこととした。強皮症のモデルマウスは抗がん剤の1種であるブレオマイシンを皮下に局所注射することで作成した。GSK-3β-KO、-WTマウス(6-8週齢)、Hos:HR-1マウスの背部にブレオマイシン50μg/day皮下注射を4週間投与し、投与後に創部を摘出し、強皮症の発現を免疫染色やH&E、Masson trichrome染色で評価し、皮膚肥厚を認める強皮症モデルマウスが作製できる事を確認した。現在はセレコキシブ局所投与の影響を見ているところである。
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