2022 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞産生因子を用い形成する脂肪移植至適環境の開発
Project/Area Number |
20K18437
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
太田 智之 岡山大学, 大学病院, 助教 (90869140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 培養上清 / 移植環境 / 幹細胞産生因子 / 皮下反復注射群 / 基材移植群 / 生体吸収性ハイドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は幹細胞研究において注目されている幹細胞産生因子に着目し、脂肪移植の生着率を向上させるための移植環境を探索している。 ラット鼠径部より脂肪を採取して脂肪由来間葉系幹細胞を単離、血清含有培地にて培養を行った後、培地を無血清のものに変更し48時間培養した上清を回収した。次に最適移植環境の検討のためラットの頭部皮下に上清または生食を注入した皮下反復注射群と、上清を含侵させた徐放性基材 (ペルナックGプラス)を移植した基材移植群を作成した(各群 n=2)。3週間後に鼠径部より脂肪を採取し、細かく破砕したものを前述の移植環境作成部位に各1mlずつ注入した。移植直後より1カ月間隔でCTにて移植脂肪の体積の経時的変化を観察し、移植後2か月の時点でCTにて体積最終評価後、移植した脂肪を採取して組織学的検討を行った。 生食反復注射群と基材移植群で経過観察中に1匹ずつが死亡し、2カ月時点で生存していた個体で検討を行った。最終評価時点の移植脂肪は、移植直後と比較して、上清反復注射群①が95.8%、上清反復注射群②が55.5%、生食反復注射群が53.8%、基材移植群が63.3%の残存を認めた。 H・E染色で上清反復注射群①、②ともに巨大化した脂肪滴が散見され、生食反復注射群、基材移植群では細かい脂肪滴を多く認めた。さらに、Perilipin1の免疫蛍光染色を行った所、前述の細かい脂肪滴では染色を認めたが、巨大化した脂肪滴部は染色を認めなかった。 上清反復注射群①では移植後2カ月時点での移植脂肪残存率が高かったが、Perilipin1で染色を認めない巨大化脂肪滴が多く散見され、これはオイルシスト様の変化ではないかと思われた。他の群では基材移植群がわずかに移植脂肪残存率が高かったが、組織学的にもコントロールである反復生食注射群と大きな差は認めず、この手法の優位性を証明するまでには至らなかった。
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