2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K18444
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宇野 嘉良子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80867747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚再生 / イモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
両生類のイモリは成体になっても唯一再生力の落ちない脊椎動物であり、他の再生生物とは異なる特徴をもつ。しかしながら、ウーパールーパーやアフリカツメガエルといった所謂モデル生物とされる再生生物の研究は盛んに行われる一方でイモリについての臓器別の詳細な研究報告は限られている。再生医療を実現するためのキーファクターを見つけるためには、成体になっても落ちない再生力というのは注目すべき特徴であり、イモリの研究を行うことは医療への応用を想定するのであれば大きな意義を有すると考えられる。我々は哺乳類との比較もしやすい皮膚に焦点をあてたが、皮膚再生についての詳細な知見はこれまでになく、今後の基盤作りのため基本的なイモリ皮膚の構造から再生パターンまでをこの一年で検証してきた。これまでの経過としては、イモリの基本的な皮膚構造は哺乳類と同じで表皮、真皮、皮膚付属器から成り立っており、表皮については角質化を伴う重層扁平上皮であることが確認された。そのため、皮膚の治癒形態の哺乳類との比較もしやすく、比較検証が十分可能であることがわかった。また、頭部、四肢、体幹など部位ごとに多少のスピードの違いはみられたが、いずれも線維化は認めず、皮膚付属器も再生可能であることが組織学的にも確認できた。しかし、色模様については再生できないという新たな結果も得られており、さらに長期的な結果も含め検証を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イモリ皮膚再生については参考となる文献も限られており、情報も乏しいことから麻酔や手術方法、術後管理、染色条件の決定などで時間を要すると思われた。しかし、臨床の専攻科の特性上、細かい手術に成熟しており、イモリの皮膚の手術についても予定より早くこなすことができた。また、術後管理もスムーズにいき、幸いにして死亡個体もほぼなく滞りなく実験を進めることができたため、当初の予定と大きくずれることなく進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状実験は滞りなく進められており、引き続き皮膚再生の長期経過などを評価していく。また、色模様の再生ができないなど新たな知見も得られており、表皮や真皮の再生の仕方などそのメカニズムにも注目し検証を進める。
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Causes of Carryover |
必要とされる動物やそれに付随する飼育費などが想定より抑えられたのもあるが、費用のかかる各種試薬類を使用する免疫染色などの実験が年度内に行えたのが少なかったことが原因と考える。また、コロナの影響もあり学会が延期となったり、オンライン化により旅費がかからなくなったことなども影響した。
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