2020 Fiscal Year Research-status Report
nanoPGA / PCL含有複合型吸収性スカフォールド の軟骨再生誘導について
Project/Area Number |
20K18451
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山内 誠 近畿大学, 医学部, 講師 (90438060)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 組織再生 / 軟骨培養 / 小耳症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノファイバー化PGAにおける播種軟骨細胞の分布、接着能、および生存率の評価 ヒト立ち耳軟骨より単離した軟骨細胞をnanoPGA不織布に播種し、培養開始後7 日目におけるnanoPGA 群とコントロール群であるPGA 群のポリマー性状およびポリマー内部の細胞分布を鏡検にて評価した。nano PGA群では、倒立顕微鏡では薄いポリマーの両面に播種細胞が集積していたが、ポリマー内部への細胞浸潤像を認めなかった。偏光顕微鏡では、薄く密なナノファイバー構造を認めた。一方、PGA群では、倒立顕微鏡で播種細胞がポリマー線維束の周辺に散在するのみで、ポリマー間の間隙に細胞成分を認めなかった。偏光顕微鏡では厚いポリマー内部に散在するポリマーを認めた。以上より、nano PGA群の細胞分布はポリマー外部には高い細胞密度で集積するが、ポリマー内部にはnano PGA群およびPGA群の両群で細胞密度は低いことが判明した。 培養開始より7日間の培養過程における播種細胞の継時的な生存率を、プレートリーダーによる吸光度を計測し,総播種細胞数に対する生軟骨細胞の割合を1日毎に算出し検討した。培養1日目における生存率は、nano PGA群で約39%、PGA群で約17%で、nano PGA群で優位に生存率が高値であった。その後の培養経過において、両群とも生細胞数は急速に増加し、培養3日目でプラトーに達した。培養期間中の細胞生存率は、すべてnano PGA群が優位に高い結果であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの環境下のため、研究が予定通りに進まなかったが、研究計画書の予定とほぼ同等に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
下記の研究計画書通りに研究を進めていく。 複合型吸収性スカフォールドの表面改質が軟骨基質の産生に及ぼす影響について検討を行う。 エタノール処置した複合型吸収性スカフォールドとエタノール処置を行っていないスカフォールド (コントロール群) にヒト立ち耳より単離した軟骨細胞を播種し、4-6 週齢無胸腺マウス (平均体重 28 g、雄 24 匹; Harlan Sprague Dawley、Indianapolis, IN)の背部皮下に移植する。移植後 10 週に標本採取し、複合型吸収性スカフォールドの表面改質が軟骨基質の産生に及ぼす影響について、肉眼所見、組織所見、遺伝子発現を検討する。 組織学的検討は、細胞を播種した複合型吸収性スカフォールドの移植後 10 、20週目に、軟骨細胞一般的性状を調べるためのトルイジンブルー染色、プロテオグリカン産生を調べるためのSafranin O 染色、弾性線維の産生を調べるための Verhoeff 染色にて行う。 遺伝子発現は、採取された再生組織における軟骨関連遺伝子 (Type II collagen、Elastin、SOX 5) およびアポトーシス関連遺伝子 (Caspase 8、Caspase9、IL-1α) の発現を定量的 RT-PCR 法にて解析する。
|
Causes of Carryover |
コロナ環境下のため、学会参加や研究に制限が加わったため 差異が生じた分の使用計画については、RCRキットやプライマーの購入、免疫染色試薬の購入などの消耗品などに使用する予定である。
|