2021 Fiscal Year Research-status Report
ストレス誘発性の顎顔面痛を軽減するCOX阻害剤の新たな役割
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20K18453
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大竹 正紀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00736621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 痛み / ストレス / 咬筋 / 痛覚過敏 / 社会的敗北ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
社会的敗北ストレスマウス(オス)を用い、ストレス誘発痛の中枢神経機構を探求した。以下、研究成果の概要を列挙する。 ①10日間のストレス処置を実施した。その翌日(24時間後)、ストレス感受性の有無を行動学的(Social Interaction (SI) test)に解析した。その結果、約85%の個体では、SI時間の短縮が見られた。一方、約15%の個体では、SIに変化がなかった。つまりストレス処置を行っても、ストレス耐性(レジリエンス)を示す個体の存在が示唆された。以降、実験群としてストレス感受性マウスを使用した。いわゆる「うつ様・不安状態」をチェックするため、強制水泳処置時、観察される行動として非水泳時間を、 処置前、処置10日後の時点で定量した。するとストレス感受性グループでは、非水泳時間の有意な延長が見られた。またOpen Field testを行った。ストレス群では、sham群と比較し、フィールド内での運動(移動)時間が、有意に短縮していた。これらの結果は、10日間の社会的敗北ストレス処置は不安様行動やうつ様行動を増大させることを示す。②次にストレス感受性マウス レジリエンスマウスを用い、Day10での咬筋侵害応答を観察した。a) 10日間のストレス処置は咬筋のホルマリン誘発疼痛関連行動を延長、b) 三叉神経脊髄路核尾側亜核でのc-Fos, FosB細胞数を有意に増大させた。この事実は、社会的敗北ストレス処置を、連続10日実施すると咬筋部の侵害応答が有意に増大することを示す。③10日間、ストレス処置を継続し、10日間、毎日、トレッドミル(10m/分、30分/日)を用いた身体的運動を実施した。結果、上述した①②はいずれの有意に低下した。しかしながら3日に1回実施群では有意な抑制効果が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)行動学的手法によるストレス感受性の判定を行うことで、より精密にストレス感受性モデルを殿別できるようになった。その結果、ばらつきの少ない精度の高い結果が得られるようになり、順調に実験が進行できる状況になった。 2)論文を投稿し、修正作業に入っていること。
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Strategy for Future Research Activity |
①予定した実験を実施する。咬筋侵害刺激時に発生する脳幹(大縫線核、視床下部の室傍核、弓状核など)の機能発現(cFos, FosB,など)とストレスの影響、NSAIDSの有効性を探求する。さらにGlia活性(Iba1, GFAP)発現についても検討を開始している。 ②学会発表を行い、研究の方向性などに関して情報を得る。 ③現在、投稿中の論文の受理。
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