2020 Fiscal Year Research-status Report
Research and development of taste bud organoid with cell polarity
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20K18457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高井 信吾 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30760475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 味蕾 / 味細胞 / トランスクリプトーム / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、味蕾幹細胞の3次元培養技術である「味蕾オルガノイド」、および味細胞のトランスクリプトーム解析を軸に、味細胞の機能的極性形成メカニズムの解明を目指すものである。現在までに、共焦点レーザー顕微鏡下での単一オルガノイドコロニー分取方法および味細胞トランスクリプトーム解析方法の検討を行ってきた。特に、トランスクリプトーム解析に関しては、令和2年度に、特定の味細胞をGFPでマーキングした遺伝子改変マウスの舌前方部(茸状乳頭)および後方部(有郭乳頭)味蕾から、GFP陽性の味細胞をFluorescence Activated Cell Sorting(FACS)を用いて分取し、単一味細胞の網羅的遺伝子発現解析を行うことに成功した。過去の研究から、舌前方部と後方部では、発生学的な器官の成り立ちの違いや、味覚応答性の違いが示唆されているが、その差を生み出す遺伝子発現の差異に関しては解析が進んでこなかった。今回用いたFACSとBD Rhapsodyを組み合わせたハイスループットなトランスクリプトーム解析により、茸状乳頭と有郭乳頭それぞれにおける特異的な発現遺伝子を見出すことが可能となった。以上の結果を学術論文としてまとめ、責任著者として発表した(Yamada, Takai et al., BBRC, 2021, in press)。その他に、味蕾オルガノイドの成長に影響を及ぼす因子や、味細胞の分化・増殖と全身の栄養状態について、これまでに得られた知見の一部を総説としてまとめ学術誌に寄稿した(髙井, 重村, 化学と生物, 2021 59巻3号)。また、本研究で得られた実験結果の一部を、18th International Symposium on Olfaction and Taste (ISOT2020)、第62回歯科基礎医学会大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延にともなう実験休止期間があったため、オルガノイド解析の一部に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験により、共焦点レーザー顕微鏡下で培養したコロニー群から、GFP蛍光によりコロニーの形態と細胞の配向性を確認し、内径を調節したガラスピペットを用いて狙ったコロニーを回収することに成功している。しかし、現状、出来てくる味蕾オルガノイド中に極性を持つコロニーが出現する確率は予想以上に低く、またコロナウィルスの蔓延による研究休止期間もあったため、極性を持つコロニーの解析は予定よりやや遅れている。現在、培地中に加える成長因子の量や初期の細胞量を検討し、目的のコロニーを得やすい条件を模索している。今後、極性を持つ味蕾オルガノイドコロニーを採取、単一細胞化した後、先に申請者らが発表した論文で用いたBD Rhapsodyによる味細胞のSingle-cell RNAシークエンシングにより、コロニー中に含まれる細胞種の同定、および、その遺伝子発現特性を網羅的に解析する予定である。そこから極性を作り出す候補遺伝子、またシグナリングカスケードを推定する。さらに、マウスから単離した味神経の細胞体を含む神経節(geniculate ganglion、nodose-petrosal ganglion)のニューロンとの共培養系(予備実験では神経単独の培養は成功済み)を試み、神経系と味蕾のインタラクションが見られるかどうかを観察する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:試薬が予想より安く購入出来たため。 使用計画:概ね順調に進んでいるので適宜執行する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Gene expression profiling of α-gustducin-expressing taste cells in mouse fungiform and circumvallate papillae2021
Author(s)
YuYamada, ShingoTakai, Yu Watanabe, Ayana Osaki, Yuko Kawabata, Asami Oike, Ayaka Hirayama, Shusuke Iwata, Keisuke Sanematsu, ShojiTabata, Noriatsu Shigemura
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 557
Pages: 206-212
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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