2022 Fiscal Year Annual Research Report
口蓋突起挙上における細胞動態および力学的要素のライブ観察による解析
Project/Area Number |
20K18463
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
長坂 新 明海大学, 歯学部, 助教 (40822474)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口蓋発生 / ライブ観察 / 組織形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口蓋の形成、特に口蓋挙上の際に、口蓋突起を構成する細胞の動態・形態をリアルタイムで捉え、また細胞の増殖や細胞骨格などの解析によって口蓋突起内の力学的要素を把握することで、正常な二次口蓋発生機序を明らかにすることを目的とした。 口蓋挙上に伴う組織変形を捉えるために口蓋突起のスライス培養によるライブ観察法を構築し、anterior部分の口蓋挙上を連続的に観察することに成功した。口蓋突起の角度変化を計測し、口蓋挙上中には口蓋突起が常に舌側方向に変形し続けること、口蓋突起の基部(変形の基点となる部分)では舌側はより鋭角に頬側はより鈍角に変形することを明らかにした(Nagasaka et al. 論文投稿中)。また、細胞の核を標識することで、組織内に存在する個々の細胞の動態を捉えることができた。舌側の基部付近に存在する細胞は一方向へ、頬側の基部付近に存在する細胞は放射状に移動する様子が観察された。加えて、口蓋突起先端部では舌側・頬側ともに舌側方向への細胞移動が観察された。今回の結果から、口蓋突起の挙上に伴う組織の変形には、口蓋突起を構成する細胞の動態が影響することが示唆された。 口蓋突起の舌側・頬側では組織変形の様子に違いが見られたことから、組織変形や口蓋挙上に関連する分子群の時空間的な発現部位の違いを調べた。口蓋突起のanterior部(A)、middle部(M)、posterior部(P)のそれぞれで舌側(L)と頬側(B)での違いを口蓋挙上前後のタイミングで調べた。その結果、口蓋挙上に関わるPax9はAL部、M L部、PB部の間葉細胞に、Osr2はAB部、MB部、LB部の間葉細胞に発現が見られた。これら分子群の発現部位の違いが口蓋挙上に影響することが示唆された。以上の結果を論文として報告した(Nagasaka et al., Int J Mol Sci., 2022)。
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Research Products
(7 results)