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2020 Fiscal Year Research-status Report

脂味の認知開始機構とエブネル腺維持機機構の解明

Research Project

Project/Area Number 20K18468
Research InstitutionJapan Women's University

Principal Investigator

山下 厚子  日本女子大学, 家政学部, 助手 (50848075)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords脂味 / 味覚 / エブネル腺
Outline of Annual Research Achievements

本研究の開始年度である本年度は、脂味の認知が始まる時期を行動学的に解析することを試みた。我々の先行研究において苦味の認知を忌避行動から判定する行動学的な解析法を考案しており、今回もその手法を用いて、味溶液を母獣マウスの乳頭周囲に塗布し、乳頭周辺部に新生仔マウスの口吻部を近づけ、仔マウスの吸啜反応を観察することで解析することを試みた。しかし、脂味は乳汁にも含まれるように新生仔マウスの好む味のため、苦味忌避行動とは異なり、コントロールである水に対する吸啜反応との差を明確に区別することができなかった。
次に、行動学的な解析の代替法として、口腔内で脂味を感じた場合に脳で認知される反応を組織学的に解析する方法を検討した。具体的には、脂味溶液をマウス口腔内に投与し、味覚の認知に関連する脳の島皮質、偏桃体、孤束核でのc-Fosの発現を免疫染色法により同定する方法である。脂質を好むことが明らかである成獣マウスで実験条件を最適化することができたので、次年度以降は胎仔から新生仔マウスを用いた実験を行うことで、脂味の認知開始時期を同定できると考えている。
また、味の認知には味孔から味微絨毛が突出し、突出した味微絨毛部分に受容体が発現することが重要であると推測されるため、出生前後のマウス味蕾の味孔部を経時的に解析し、脂味の認知開始機構を検討した。走査型電子顕微鏡を用いた観察では、妊娠終期のマウスでは味孔部から味絨毛の突出は確認できなかった。次年度以降は新生仔マウスを用いて味微絨毛が突出する時期を明らかにする予定である。
脂味の認知開始には、脂味受容体の発現も重要であると考えられるため、脂味の受容体であるGPR120、CD36の発現時期をリアルタイムPCRとウェスタンブロッティングで解析することを試みている。また、次年度は免疫染色によって受容体の発現場所と脂味の認知の関係性について明らかにする予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

緊急事態宣言の発令とともに研究を行っている大学の入構および動物飼育施設の利用が制限され、既存マウスの維持に重点を置いたため、予定していたLgr5遺伝子改変マウスを積極的に購入・繁殖させることができなかった。また、味蕾やエブネル腺の発達を解析するためには妊娠マウスが必要となるが、施設の入構および利用制限により継続的に動物の交配を行なえず、当初予定していた計画よりも全体的にサンプリングが遅れている。そのため、エブネル腺の発達に関する解析は特に遅れている。
また、脂味の認知開始時期を行動学的な解析で明らかにすることが難しいことが明らかとなり、その代替法としてマウスの舌に脂味溶液を添加し、脳のc-fosの発現を観察することで脂味の認知開始時期の同定を行う方法を新たに開発する必要があった。これは新たに取り組む解析手法であったため、実験手技のトレーニングや再現性の確認などに時間がかかってしまった。

Strategy for Future Research Activity

脂味の認知開始時期は、脂味溶液をマウスの舌に滴下し、味覚認知に関連する脳の島皮質、偏桃体、孤束核でのc-Fosの発現を解析することで同定する方法に変更する。新生仔マウスでは、保定による皮膚刺激が実験結果に影響する可能性があるので、対照群の設定に配慮して解析を行いたい。また、胎仔期においてはマウス子宮内胎仔手術法を用いて、野生型マウスの胎仔胚の羊水中に脂味溶液を注入して投与し、胎仔が羊水を飲むことにより味覚認知の開始時期を検討する予定である。
また、脂味は、脂質がリパーゼによって分解されて生成する脂肪酸と脂味受容体が結合することが重要であるので、走査電子顕微鏡を用いた形態学的な解析は、標本数を増やし、新生仔マウスを中心に観察することで、味蕾の形態的な発達と脂質の分解に関与している舌リパーゼエブネル腺の開口時期および導管の形成時ついて経時的な観察を行い、組織学的な観察も行う。
さらに、脂味の受容体の発現時期と発現量については、リアルタイムPCRとウェスタンブロッティングで解析を進めていく。また、受容体の発現部位については、脂味受容体の免疫抗体染色やin situ hybridization法による解析も進める。
一方、エブネル腺は味細胞と同じ幹細胞で維持されているという仮説の下、有郭乳頭の味蕾基底部に存在するエブネル腺の維持機構を明らかにする。味蕾の幹細胞として報告されているLgr5遺伝子改変マウスを用いて、in vivoおよびin vitro幹細胞でlineage-tracingを行う。エブネル腺の分化に必要は遺伝子の発現は、マイクロアレイや定量PCR、in situ hybridizationを用いて解析する。

Causes of Carryover

国外と国内の学会発表をする予定で予算を計上していたが、実験の進捗が遅れて学会発表ができなかったため、次年度使用額が生じた。
今年度は実験を進め、学会発表や論文にまとめる予定のため、繰越金はそれらの費用にあてる予定である。

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Published: 2021-12-27  

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