2020 Fiscal Year Research-status Report
Lrrc34 Creマウスを用いた唾液腺腺房細胞の自己複製能力の検証
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20K18473
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石田 和久 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (00850356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 唾液腺組織の恒常性維持機構 / Lrrc34 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lrrc34 (Leucine rich repeat containing 34) 核タンパク質は、未分化胚細胞に発現するといわれており、申請者らは予備実験でマウス唾液腺(顎下腺および舌下腺)にLrrc34核タンパク質が発現していることを見出した。本研究では、唾液腺組織における腺房細胞の複製能力に注目し、未だ解明されていない唾液腺組織の恒常性維持機構の解明を目指すことを目的としている。 従来から、唾液腺は導管に存在する幹細胞からのみ細胞供給が行われていると考えられていたが、近年腺房細胞にも自己複製能力があると考えられている。初年の今年度はLrrc34発現細胞を可視化し、リアルタイムに追跡できるマウス(Lrrc34 CreERT2 / LSL-Tomato)を作成することで、Lrrc34陽性細胞を組織レベルで解析を行うこととした。このマウスはタモキシフェンを投与することでCreタンパクが核内へ移行し、STOPコドンが外れることでTomato(赤色蛍光)が読み込まれる。 これによりLrrc34発現細胞の系譜を解析できるようになる。仮にLrrc34発現細胞が自己複製した場合、このシステムでは複製後の細胞にもTomatoが発現 し赤色蛍光を呈する。これにより唾液腺腺房細胞が平時においてStem cell based(幹細胞か らの細胞供給)かSelf-duplication(自己複製による維持)なのかを解明できる。 唾液腺の腺房細胞のターンオーバー期間は50~120日間と言われているため、本実験ではタモキシフェンを投与 後1、3、6ヶ月後に組織解析を行なった。本年度の実験では、Tomato陽性細胞(Lrrc34発現細胞および複製細胞)は経時的に増加し、ターンオーバー期間を超えても広く分布し続けていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実験では、Tomato陽性細胞(Lrrc34発現細胞および複製細胞)は経時的に増加し、ターンオーバー期間を超えても広く分布し続けていることが確認されたため、Lrrc34 CreERT2 / LSL-Tomatoマウスの作成とこれを用いた細胞系譜法とういう当初の目的は達成されている。しかしながら薬剤投与量や間隔の調整が必要となったため、予定していた量の検体数を確保できていないため、追加で同様の実験を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞系譜法は作業は単純であるが、追加実験となった場合に非常に時間を要する(本実験の場合、薬剤投与後1、3、6ヶ月で組織解析を行うため、最長6ヶ月を要する)ため、絶えず並行してマウスを用意することで、必要以上の時間をかけずに済むと思われる。これは次年度に予定している唾液腺障害モデルマウスの作成にも応用できると考えられており、効率的な実験の遂行を心がけたい。
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