2022 Fiscal Year Research-status Report
Lrrc34 Creマウスを用いた唾液腺腺房細胞の自己複製能力の検証
Project/Area Number |
20K18473
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石田 和久 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (00850356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺の恒常性維持機構 / Lrrc34 / 唾液腺傷害マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
Lrrc34 (Leucine rich repeat containing 34) 核タンパク質は、未分化胚細胞に発現するといわれており、予備実験でマウス唾液腺(顎下腺および 舌下腺)に Lrrc34核タンパク質が発現していることを見出した。本研究では、唾液腺組織における腺房細胞の複製能力に注目し、未だ解明されていない唾液腺組織の恒常性 維持機構の解明を目指すことを目的としている。昨年度までの研究において、Lrrc34発現細胞を可視化し、リアルタイムに追跡できるマウス(Lrrc34 CreERT2 / LSL-Tomato)を作成し、Tomato陽性細胞(Lrrc34発現細胞および複製細胞)は経時的に増加し、既知のターンオーバー期間を超えても広く分布し続けていることが確認された。 唾液腺が傷害された際にも自己複製能力が機能するのかを検証する必要があるため、昨年度は唾液腺傷害マウスモデルの作成に着手した。われわれが開発している過酸化水素を用いた唾液腺傷害モデルは、従来の唾液腺傷害モデル(導管結紮モデルや放射線照射モデル)と比較して再現性が高く、かつ簡便に作製できると思われ、確立すれば今後の唾液腺に関する研究にとって有用となる。昨年度の研究では、過酸化水素の投与により唾液腺腺房細胞が萎縮し、時間の経過により機能及び形態的な回復が得られることを確認することができ、再現性があることも確認できた。今年度はマウス数を増やしてモデルを確立し、Lrrc34 CreERT2 / LSL-Tomatoマウスモデルに応用する予定であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過酸化水素を用いた唾液腺傷害モデルについては昨年度までの研究で、器具の操作や手順については概ね確立することができていると思われる。しかし過酸化水素を唾液腺に投与する際には 非常に慎重な操作が必要となること、過酸化水素は遮光する必要があり一度に大量に調整できないことなどから、過酸化水素の投与は数匹ずつ行うこと必要があり、必要なマウス数を確保するのに時間を要している。加えて新型コロナ感染症予防対策として、研究に費やす時間が減少したことも遅延した要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
過酸化水素を用いた唾液腺傷害マウスモデルを確立するためには相当数のマウスが必要であり、大量のマウスに過酸化水素を投与するにはかなりの時間を要する。現在研究室や実験室が密にならないよう留意しているが、過酸化水素投与の術式は比較的単純であることから、短時間ずつであっても投与実験を行うことで必要量を確保していきたい。またLrrc34 CreERT2 / LSL-Tomatoマウスへの応用を並行させることで、期間的な問題については改善できると考えている。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも過酸化水素投与に時間を要し、唾液腺傷害モデルの作成に時間を要していること、器材や薬品が比較的長期に使用できたことから新たに購入 する必要がなかったため。また学会などがweb上で開催され旅費などが不要となったため次年度使用額が生じた。今年度は論文投稿なども予定しているため、論文投稿や英文校正等にも費用が生じる予定である。
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