2021 Fiscal Year Research-status Report
歯周病菌のIX型分泌機構関連遺伝子を持つオペロンの役割と病原性への関与
Project/Area Number |
20K18475
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 晋太郎 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (80866517)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Porphyromonas gingivalis / IX型分泌装置 / ジンジパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内細菌Porphyromonas gingivalisは主要な病原因であるジンジパインをIX型分泌装置から分泌する。しかし,IX型分泌機構の構成タンパク質や分泌機構の詳細については未だ解明されていないところがある。 これまで,P. gingivalis ATCC33277株のゲノム上に存在するPGN_0297からPGN_0301までの遺伝子によって構成されるPGN_0296オペロンに着目し,研究を行ってきた。以前に,このオペロン中のPGN_0300遺伝子の遺伝子産物はIX型分泌装置が正常な働きとジンジパインの分泌に必要であること,またPGN_0297遺伝子もジンジパインが正常に働くために必要であることを報告した。 今年度は,このオペロンに含まれるPGN_0298遺伝子とPGN_0301遺伝子の検討を行った。まず,P. gingivalis ATCC33277株を親株として,ゲノム上に存在するPGN_0298遺伝子とPGN_0301遺伝子それぞれを相同組換えにより破壊することを試み,PGN_0298遺伝子とPGN_0301遺伝子の検討を行った。 その結果,PGN_0298遺伝子の欠損株候補が作製でき,得られた株の全ゲノム配列を解読することでPGN_0298遺伝子が欠失されていることが確認できた。しかし,遺伝子変異株の作製効率は極めて低く,PGN_0298遺伝子の遺伝子産物は,本菌にとって重要な役割を担っている可能性が示唆された。PGN_0301遺伝子についても遺伝子欠損株の作製を試みているが,未だ成功していない。このことから,PGN_0301遺伝子は本菌の必須遺伝子であり,遺伝子産物が必須の機能を担っている可能性を有していることが示唆された。また,立体構造からの機能を推定することも試み,大腸菌で作製した組換えPGN_0301を結晶化し,結晶を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度で予定していたPGN_0296オペロンの機能未知遺伝子の変異株の作製において,やや遅れていると思われる。 現在までにPGN_0296オペロンの機能未知遺伝子のうち,PGN_0296遺伝子, PGN_0297遺伝子,PGN_0298遺伝子,PGN_0300遺伝子のそれぞれの欠損株と相補株の作製に成功している。PGN_0301については必須遺伝子であることが示唆されたが,この遺伝子の他の機能については解明することができなかったため,遅れていると考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
PGN_0296オペロンの機能未知の遺伝子のうちPGN_0296とPGN_0298,PGN_0300の各遺伝子の変異株を作製した。今後は各遺伝子と親株であるP. gingivalis ATCC33277株と比較し,ジンジパインの生成・分泌および菌の増殖などの変化から各遺伝子の機能を解明していく予定である。また,PGN_0301タンパク質については,その立体構造を解き,これを糸口としてその機能を探る予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用が生じたのは,新型コロナウイルス感染症蔓延のため研究室の使用が制限されたことによることが大きい。次年度への繰越金は,今年度までの進捗の遅れた部分を補完するために必要であり,次年度の助成金と合わせて研究推進のために使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)