2021 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の発がんにおけるセリンプロテアーゼ活性制御の意義に関する研究
Project/Area Number |
20K18483
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山本 晃士 宮崎大学, 医学部, 医員 (50776953)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HAI / prostasin / 口腔癌 / OPMD / matriptase / prostasin / VEGFC |
Outline of Annual Research Achievements |
HAIs(HGF activator inhibitors)は細胞周囲微小環境でのセリンプロテアーゼ活性制御において重要な役割を有している細胞膜結合型セリンプロテアーゼインヒビターである。近年、HAIsの機能破綻による標的プロテアーゼの活性異常が発がんに結びつくことが分かってきた。本研究では、口腔粘膜での発がん過程におけるHAIsや細胞膜結合型セリンプロテアーゼの機能を詳細に解析し、新たな膜型プロテアーゼ活性制御機構の発見や発がん機構を解明することを目的とし研究を行った。 本研究で、以下の成果を得た。
1. 口腔潜在的悪性疾患について免疫染色による検討を行っている段階で、口腔扁平上皮癌において、prostasinは正常重層扁平上皮と比較して前癌病変や癌組織において発現が低下していた。OSCC細胞でprostasin発現は低く、prostasinを強制発現させると増殖能、遊走能、浸潤能が有意に低下した。また、prostasinの強制発現において、EMT関連因子の発現低下が見られた。 2. 強い間質浸潤を示す舌癌症例の浸潤先端において、細胞膜状HAI-1の発現が著明に減少しており、その程度がリンパ管侵襲と相関することを見出した。そこで、リンパ管新生因子であるVEGFCに着目し、研究を行った。VEGFCを精製し、HAI-1により制御され、多くの癌で腫瘍の進展に寄与していると報告のあるmatriptaseのリコンビナントタンパク質と反応させた。反応後、WB, 銀染色にて切断後に出現したタンパク質のバンドのN末端解析を行ったが、matriptaseがVEGFCを直接的に活性化しないことがわかった。一方で、matriptaseは間接的(uPA活性化を介したplasminogenの活性化)にVEGFCを活性化することを見出した。
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Research Products
(2 results)