2020 Fiscal Year Research-status Report
Oral biofilm inhibition or dispersal by bacterial supernatant
Project/Area Number |
20K18485
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
山崎 亮太 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70841998)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 口腔バイオフィルム / 菌液上清 / ラムノリピッド / サーファクチン / バイオサーファクタント / 歯周病原性細菌 / 齲蝕原性細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔細菌はバイオフィルムを形成して歯周病や齲蝕を引き起こし、更に持続的な免疫応答や継続的な菌血症を介して、全身状態に影響を与えると考えられている。ゆえに、口腔バイオフィルムを分散除去、または形成抑制することは口腔疾患に加え、全身疾患を防ぐことに繋がる。本研究では、バイオフィルム形成に関与する物質を多く含む様々な菌種の“菌液上清”に着目し、口腔バイオフィルムの効果的な分散・抑制効果を狙った。 初年度では、歯周病原性細菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitansや齲蝕原性細菌であるStreptococcus mutansなどをターゲットとして、緑膿菌や枯草菌の菌液上清を作用させてその効果を検証した。その結果、これらの菌液上清は口腔バイオフィルム形成を大きく抑制できることがわかった。また、菌液中の成分の内、バイオサーファクタントに着目し、緑膿菌が産生するラムノリピッドと枯草菌が産生するサーファクチンを使用しその効果を検証した。結果として、これらのバイオサーファクタントは齲蝕原性細菌の増殖を抑制する効果があり、またラムノリピッドはA. actinomycetemcomitansのバイオフィルム形成抑制能が高いことを明らかにした。バイオサーファクタントは人体への影響が少ないため、口腔ケアのための新薬として応用が期待できる。本研究はBMC Microbiologyにて報告している(Yamasaki et al., BMC Microbiology, 2020)。今後は他の口腔病原細菌や菌液の上清を用いて検証の幅を広げたり、菌液上清だけに留まらず、様々な抽出液や化学物質などを検証しその効果を明らかにしていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔バイオフィルムに対し菌液上清による抑制効果、更には上清成分の1つであるバイオサーファクタントがそれに大きく起因していることを明らかにした。初年度の研究推進で、これらの研究結果をまとめ学術論文として公表するに至ったことから、本申請研究はおおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒトの口腔内は数百種類もの細菌種が複雑ではあるがある程度一定の細菌叢を形成している。今後の研究の推進としては、研究実績の概要で上述したようにその他の口腔病原細菌に対しての効果検証や単一の菌種だけではなく複数の菌種によって形成されるバイオフィルムに対しての効果を検証することでよりヒトの口腔に近い環境で検証を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
2020年度に購入を予定していた物品が、メーカーの在庫不足によって次年度での発注手続きとなった。そのため、確保していた当該予算が翌年度分として繰り越されることになった。引き続き予定していた物品の購入に使用する。
|
Research Products
(2 results)