2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔潜在的悪性疾患に対するバイオマーカーとなるリン脂質の探索
Project/Area Number |
20K18486
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
川田 由美子 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (10348211)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔潜在的悪性疾患 OPMD / 質量分析イメージング MSI |
Outline of Annual Research Achievements |
【緒言】口腔潜在的悪性疾患 (Oral Potentially Malignant Disorders; OPMD) の悪性化リスクの評価には,病理組織学的な上皮異形成の有無および程度 (グレード) を用いることがゴールドスタンダードである.問題点として上皮異形成の診断が病理医の主観に左右される可能性があり,OPMDのグレード評価に有効なバイオマーカーはいまだ同定されていないことが挙げられる.質量分析イメージング(mass spectrometry imaging;MSI)は組織学的観察と質量分析による分子計測を組み合わせた技術であり,これまでは解析が困難であった組織切片上のリン脂質の位置および存在量を取得することが可能となり,近年,MSIを用いた脂質分析により乳癌や扁平上皮癌でリン脂質の分布に異常が生じることが明らかになっている.本研究では,MSIを用いてOPMDの各グレードにおけるリン脂質の組成変化および分布の詳細を明らかにし,OPMDのグレードを評価する新規手法を確立することを目的とした. 【材料および方法】 1)MSIを用いたOPMD切片における部位依存的なリン脂質量の計測:対象症例は当科にてOPMDと臨床診断あるいは病理診断された患者とし,目標症例数は30例とした.病理切片は連続切片として作成し,一方の切片をヘマトキシエオジン染色,他方の切片を用いてMSI解析を行う.2)OPMDグレード評価の新規マーカーとなるリン脂質の種類の同定:MSIを用いて病理切片上の,部位依存的なリン脂質量を計測し,質量データを取得・定量する.その後,MSIにより得られたリン脂質の分布をもとに,OPMDの各グレードで特異的分布を示すリン脂質分子を同定する. 【結果,考察】症例収集していたが,保存冷凍庫の故障などがあり,目標症例数30例に達することが困難となり,残念ながら解析に至っていない.
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