2023 Fiscal Year Annual Research Report
TLR7リガンドR848による癌骨浸潤治療法の開発
Project/Area Number |
20K18487
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
馬目 瑶子 昭和大学, 歯学部, 助教 (40826666)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 悪性黒色腫 / R848 |
Outline of Annual Research Achievements |
Toll like receptor(以下TLR)7/8に作用するR848のがん骨浸潤への抑制作用について研究を行ってきた。がんは日本の疾患別死亡者数第一位であり、それは障害者の疾患率も例外ではない。がんの骨浸潤は激しい疼痛や病的骨折を引き起こし患者のQOLを著しく低下させるため、その効果的な治療法の確立が急がれる。がん治療の中でも免疫療法は自身の免疫細胞を利用するため、副作用が少ないとされている。TLR7/8は、イミダゾキノリン系化合物を認識することで自然免疫を活性化するという報告があり、イミダゾキノリン系化合物の中でもすでに治療薬として臨床応用されているR837の類縁体であるR848を用いてがん骨浸潤に対する効果を検討してきた。マウスに悪性黒色腫細胞株であるB16F10を移植し、さらにR848を投与することで悪性黒色腫の骨浸潤の抑制効果の有無を評価したところ、その結果、R848は悪性黒色腫の骨浸潤を抑制することが確認された。 この結果から、R848はがん骨浸潤の治療薬となる可能性が示唆される。 免疫療法の中でもサイトカイン療法は、免疫細胞を活性化させる治療法である。サイトカインとTLRの関係性は非常に強いため、骨髄細胞にR848を作用させたところ、免疫細胞を活性化させることで知られるIL-6、IL-12、IFN-γが上昇することが確認された。また、R848は骨浸潤の抑制だけでなく、肺がんや乳がん細胞の増殖を抑制することが確認され、この結果より、骨浸潤以外にもR848はがん細胞の増殖を抑制する効果がある可能性が考えられる。
|