2021 Fiscal Year Research-status Report
放射線療法に伴う味覚障害の唾液メタボローム解析による病態解明と治療への応用
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20K18493
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
八岡 和歌子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20865208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / 味覚障害 / 口腔支持療法 / がん / 放射線治療 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療に付随して生じる様々な口腔合併症の中で、味覚障害は発症頻度が高く、患者のQOLを長期に損なう大きな要因となっているが、その病態ならびに有効な治療法は確立されていない。がん治療中のQOLの維持ならびに向上、がん治療の安全性の担保は、治療予後の向上と同様に重要な事項である。放射線治療の進歩は、治療成績を向上させ、患者の予後の改善に寄与している。口腔合併症のうち、頭頚部がん放射線治療中の味覚障害の発症率は60Gy以上の照射線量で90%程度と報告があり、実際に回復までに期間を要する症例を多々経験する。味覚障害の要因のひとつに、必須微量元素である亜鉛の欠乏で起こるgustinの減少が挙げられているが、高頻度で発症する頭頚部がん放射線治療に伴う味覚障害との関連は不明である。亜鉛製剤の投与で改善がみられるとの報告もあるが、有効な治療法が確立されていないのが現状である。頭頚部がん放射線治療を行う患者を対象に、唾液中の微小代謝産物(メタボローム)を網羅的解析し、有害事象として高頻度に発症する味覚障害に特異的に発現するメタボロームを明らかにし、病態マーカーとして疾患の診断や治療に活用できるかを検討することである。低侵襲に採取できる唾液を研究試料とし、メタボローム解析を行うことで、味覚障害に特異的な産物が発見されれば、味覚障害の唾液中バイオマーカーとして診断に有用であり、その代謝メカニズムを解明することにより、味覚障害の本態解明、発症の予防や早期発見、治療法の確立に寄与できる可能性があり、大変意義深いと考え本試験を企画した。 頭頸部癌の放射線治療においては、唾液の減少が問題となるが、概ね検体の採取は順調である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定エントリー数60例に対し、現在52例までエントリーが完了した。また、その内8割程度、検体の採取が完了した。エントリーならびに、検体の採取、臨床情報の取得に関しては、特に問題なく進行していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
年度前半までに、検体の採取が完了する見込みである。その後検体の解析を行い、年度後半に結果の学会発表ならびに論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果の論文化が遅れており、データの解析費用、論文投稿費用、英文校正費用が必要となったため。
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