2022 Fiscal Year Research-status Report
放射線療法に伴う味覚障害の唾液メタボローム解析による病態解明と治療への応用
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20K18493
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
八岡 和歌子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20865208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / 味覚障害 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究の拝見ならびに目的)がん治療中の口腔合併症として、味覚障害は発症頻度が高く、患者のQOLを長期に損なう要因となっているが、その病態の理解や治療法は確立されていない。味覚障害の原因として、必須微量元素である亜鉛の欠乏による、gustin(タンパク質)の減少が一因といわれているが、頭頚部がん放射線治療による味覚障害との関連は不明である。 メタボローム解析は、タンパク質より小さいアミノ酸、有機酸、脂質、糖などの代謝物を網羅的に解析することができる技術である。本研究の目的は、非侵襲で採取可能な唾液を検体としたメタボローム解析を用いて、味覚障害を有する患者のgustin周囲の代謝パスウェイの変化を解析することにより、放射線治療に伴う味覚障害に亜鉛欠乏との関連があるか、また、他に病態を反映する特異物質の探索を実施し、正確な診断、投薬の有効性の予測等、臨床応用に繋げることである。(方法)A)頭頚部がん放射線治療を行う予定の60名の患者の唾液を、治療開始前(歯科初診時~照射開始前日まで)、治療中(照射量40Gy±2日)、治療終了後(照射終了日~終了後1週間)に経時的に唾液を採取する。(スクリーニング) B)唾液検体のメタボローム解析を行う。gustin周辺のパスウェイ解析および新たに味覚障害の病態と関連が深いと思われる候補物質の探索を行う。味覚障害の評価は自覚的評価ならびにCTCAE Ver.4を用いる。同時に口腔内の乾燥の程度、清掃状態、歯性病巣の有無などの診察を行う。 C)得られた結果をもとに、別の頭頚部がん放射線治療を行う予定の30名の患者の唾液を、治療開始前(歯科初診時~照射開始前日まで)、治療中(照射量40Gy±2日)、治療終了後(照射終了日~終了後1週間)に経時的に唾液を採取する。(バリデーション) 現在までに、予定していた検体の採取が修了し、現在解析中である。 今年度中に学会発表ならびに論文の投稿を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍と重なったこともあり、外来患者の減少や。感染の問題より、 唾液の検体採取が難しい時期もあったため。
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Strategy for Future Research Activity |
既に検体の採取は完了し、解析を進めている。 データが揃い次第、学会発表ならびに論文の投稿を速やかに行う予定である。
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Causes of Carryover |
データを解析中のため、学会発表に関わる参加費、旅費や、論文投稿料、英文校正料などの使用が次年度となってしまったため。
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